『みんなで一緒に暮らしたら』ステファン・ロブラン監督「名俳優たちと一緒に仕事ができて本当に感動した」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『みんなで一緒に暮らしたら』ステファン・ロブラン監督「名俳優たちと一緒に仕事ができて本当に感動した」

インタビュー

『みんなで一緒に暮らしたら』ステファン・ロブラン監督「名俳優たちと一緒に仕事ができて本当に感動した」

11月3日(土)より公開を迎える『みんなで一緒に暮らしたら』は、世界的な高齢化社会という世相を背景に、晩年を迎えた老人たちが共同生活を始める姿をユーモアたっぷりに描き出したステファン・ロブラン監督の野心作だ。キャストには超豪華な顔ぶれがそろった。パリ郊外に住む5人の友人たち。主演のジャンヌ役にジェーン・フォンダ、その夫アルベール役にピエール・リシャール、一人暮らしのクロード役にクロード・リッシュ、共同生活を提案するジャン役にギイ・ブドス、その妻アニー役にジェラルディン・チャップリン。5年の歳月を費やして完成させた監督に話を聞いた。

――本作は5年がかりで完成させた作品ですが、まずは完成した時の気持ちと、正直、途中で気持ちが萎えてしまったこともあるかと思います。そんな時、どうやって気分転換を図ったのでしょうか?

「遂に映画が完成した時には、それをかみしめる間もなく、即座に全てのエネルギーを劇場公開に向けて協力することに注ぎました。どうか、多くの観客が見に来てくれますようにと。そして、劇場公開が始まると、すぐにフランスとドイツでヒットとなりました。その後も幾つもの国で上映され、質疑応答や多くのインタビューを受けました。それらの体験は素晴らしい喜びでした。なぜなら、人々が映画を見て笑ってくれて、楽しんでくれて、また鑑賞後に自分のことや、家族のこと、友人のこと、そして自らの老後の計画のことなどを考えて話してくれるからです。また、特に大きな挫折はありませんでした。唯一、犬がなかなか言うことを聞かなくて。それ以外、撮影はスムーズに進みましたし、幸い現場は和やかな空気に包まれていたので、大きな問題は本当になく、まるで映画に登場する仲間たちそのものでした」

――ジェーン・フォンダ、ジェラルディン・チャップリン、ピエール・リシャールなど、本当に豪華なキャストがそろいました。これだけのキャストと仕事をするのは監督冥利に尽きると思いますが、一番印象に残っているエピソードを教えてください。ちなみに監督は彼らの演じた役の中で、どれが一番好きですか?

「私はこの名俳優たちと一緒に仕事をすることができて本当に感動しましたが、特に私の映画の中で演技をするためにアメリカからわざわざ来てくれたジェーン・フォンダには本当に感無量でした。しかし、一度撮影現場に入ってしまえば、彼らにも他の若い俳優たちと同じように指導しました。それは単純に、私の頭の中にあった小さな音楽にスイッチを入れて、その音符に彼らが自然について来てくれたのです。みんな好きですが、ほんの少し、頭一つ分好きなのは、クロードとジャンヌです。それは多分我々をびっくりさせること、常識破りのようなところが他のキャラクターよりもあるからだと思います」

――老いの問題は避けて通れません。それをコメディとして見せる監督の手腕が素晴らしかったです。監督は老齢問題をどうとらえているのでしょう?また本作で描き出したかったことは何でしょうか?

「最初から、映画では普段あまり語られず、多くの人の心の琴線に触れるもの、そして老年の俳優たちのアンサンブルが楽しくて美しい映画を撮りたいと思っていました。私はまず老年の人たちの依存についての問題から始めることにしました。遠近を問わず、多くの人が抱えている問題です。そして、我々の世の中の高齢化は次第に迫りつつあり、ベビーブームの人たちも定年を迎える今日で、高齢者がまた一段と増えるのです。そして、そんな彼らは、何か対策を発明して、彼らの老後をより人間的にするために計画を練るのです。私は子供たちが親の老後の道を決めてしまうのは残念だと思います。老人たちに、たとえ色々問題があるとしても、彼らにだって自由は残されており、尊厳だってあるのです。今こそ、我々は老後の問題を考え、それに対して方法を生み出し、より人間的で、より応用の利く解決策をそれぞれが生み出してほしいと思うのです」

――ラストシーンには泣かされました。別のエンディングもあったかと思うのですが、あえてあのラストシーンにした意図は何でしょうか?

「私はこの映画のラストを、全員が集まり、そこに一人欠けている、という構図を見せたかったのです。そこには友情と結束があることも、このラストシーンで見せたいと思いました。妻が逝ってしまった後でも一人ではないということ、そこには彼を理解してくれる、彼を支えてくれる、そしてそんな彼を受け入れてくれる友達がいるということを」

――次回作と、これから撮ってみたい作品を教えてください

「次回作は、違うジェネレーションの関係を描いた作品を作りたいと思っています。日本の皆さんが私の映画を好んでくださることを願っています。そして、この映画の感想をとても聞きたくて、うずうずしています!!」

主演を務めたジェーン・フォンダは、アカデミー主演女優賞を二度受賞(『コールガール』『帰郷』)した押しも押されぬ大女優だ。そんな彼女がバケツリストとしてあげていた“もう一本、フランス映画に出演したい”という念願が叶った『みんなで一緒に暮らしたら』。彼女を含め、共演陣が絶妙なアンサンブルを見せる本作は、この秋一番の感動作だ。是非とも劇場で大切な人と見てもらいたい。【Movie Walker】

関連作品