野波麻帆、女優魂を見せた濡れ場のシーンは「有言実行でした」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
野波麻帆、女優魂を見せた濡れ場のシーンは「有言実行でした」

インタビュー

野波麻帆、女優魂を見せた濡れ場のシーンは「有言実行でした」

阿部寛主演、『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)の行定勲監督作『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』(1月26日公開)に出演した野波麻帆。恋多き女・艶を巡る男女の愛憎劇で、彼女が演じたのは、艶の元夫と、さらに職場の上司と関係を持つ橋本湊役。本作で、大胆な濡れ場にもトライした野波にインタビューし、役に向き合う真摯な姿勢と、行定組の魅力について聞いた。

行定監督作は『パレード』(10)に続いて二度目の参加となった。「またオファーをいただいて嬉しかったです。脚本を読んだら、日本映画というよりはフランス映画みたいな感じで、面白いなと思いました。また、脱ぐシーンが結構あったので、おお、来たなと(笑)」。

野波が今回、大胆なベッドシーンにトライしたのは、役への情熱はもちろん、行定監督への絶大な信頼感があったからだ。「実は、『パレード』の打ち上げで、『もしも脱ぐのなら、監督の作品が良いです』と言っていたんです。そしたら監督から、『脱ぐ気持ちはあるの?』と聞かれたので、『事務所はわからないですが、私はいつでも脱ぎます』とお答えしました。そしたら、このお話をいただいたので、監督に『覚えていてくださったんですか?』と聞いたら、『覚えてるよ。ちょうど役柄がぴったりだったから』と言ってくださって。私としては有言実行だったんです」。

行定監督の演出の魅力とはどういうものなのか。「本当に画が見えているんです。納得がいかなければもう一度回しますし。しっかりイメージがあるんでしょうね。しかも、自分が芝居をしていて、さっきのが良かったなとか、今のは少し感情がずれたなとか思うと、必ず指摘されるんです。そういうところを絶対に見逃さないので」。

彼女が脱ぐ覚悟をした裏側には、確固たる女優としての強い意志があった。「日本の女優さんって、あまり脱がないじゃないですか。でも、フランス映画など、海外では女優さんが役のために結構脱ぎますよね。ストーリー上、普通だし、リアルに映ると思うんです。だから、今回もスパッと脱いでスパッとパンツを履きました。監督もそういう感じにリアルにしたいと言ってくださったので。実際に見た時、ただただ脱ぐのではなく、流れに説得力があって良かったです」。

濡れ場を演じた相手は岸谷五朗だ。艶の元夫・太田役だが、七三のウィッグを被った岸谷を初めて見た時は、「まさか、こう来るとはと(笑)。ちょっと面白くて笑えました」とのこと。ただ、相手が岸谷だったからこそ、リラックスして臨めたという。「岸谷さんは全てを受け止めてくださる方。濡れ場では安心してバッサリ脱げたんです。あそこまで脱いだのは初めてでしたが、すごく安心感がありました」。ふたりのラブシーンは艶かしく、エモーショナルだ。「行定監督が、歴史を感じさせるような情緒がある雰囲気で撮ってくださったんです。少し浮世離れしたような感じでした」。

また、湊の不倫相手・常磐社長役の渡辺いっけいとの掛け合いも愉快だ。「いっけいさんは、どうしようもないあの役をちゃんと素晴らしく、可愛らしく演じてくださいました。ある長回しのシーンでは、いっけいさんは精力ドリンクを一気飲みしなくてはいけなくて。確か16テイクくらい撮ったんです。さすがに7テイク目からは水に替えたんですが、かなりきつかったと思います」。

野波は、最後にこう締めくくった。「本作のお仕事は、私にとってすごく良いチャンスでした。今、32歳ですが、願っていた監督とお仕事が一緒にできて、しかも、ただ色っぽいだけではなく、ちゃんと本質的にしっかりしている役柄を演じられました。本当に出会えて良かった作品です」。

取材してから間もなく、野波のおめでたいニュースを知ったが、インタビューでも公私共々、順風満帆な様子が伝わってきた。彼女はスタイリストという、もう一つの顔も持つが、人としても地に足をつけている印象を受ける。外見はもちろん、内面の輝きも作品に出るのだと、改めて実感した。【取材・文/山崎伸子】

関連作品