世界の映画祭を制した俊英監督のユーモアあふれるドキュメンタリーが公開|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
世界の映画祭を制した俊英監督のユーモアあふれるドキュメンタリーが公開

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世界の映画祭を制した俊英監督のユーモアあふれるドキュメンタリーが公開

第54回ベルリン国際映画祭グランプリ『愛より強く』(04)、第60回カンヌ国際映画祭脚本賞の『そして、私たちは愛に帰る』(07)、第66回ヴェネチア国際映画祭で審査員特別賞とヤングシネマ賞をダブル受賞した『ソウル・キッチン』(09)と、世界三大映画祭を30代にして制覇したファティ・アキン監督。彼の最新作となるドキュメンタリー『トラブゾン狂騒曲 小さな村の大きなゴミ騒動』が8月より全国順次公開されることが決まった。

本作のテーマは、トルコにある小さな村の“ゴミ騒動”だ。アキン監督の過去作『そして、私たちは愛に帰る』のラストシーンの舞台となった、トルコ北東部トラブゾン地域の小さな村チャンブルヌ。この緑豊かな美しい村にゴミ処理場建設の話が持ち上がった。それを知った監督は、無謀にも建設阻止に立ち上がる。政府の計画は、ビニールシートで土への汚染を防ごうとしたり、素人が見ても小さすぎなのがわかる汚水処理槽を作るなどあまりにもずさんなものだった。村の住民も建設に反対し、政府の役人たちに立ち向かう。

内容だけで判断すると、いかにも生真面目な固い作品のように思えるが、本作はそうした真面目なテーマをユーモアに包んで訴えている。役人と住民のやりとりは、真剣ながらも時にこっけいで、思わず笑ってしまうほどだ。

しかし、遠い国トルコの小さな村の騒動を見ていると、決して笑って済ませて終わりの他人事ではないことに気付かされる。中央の論理・利便が優先され、地方がそのしわ寄せを受ける構図は、ここ日本でも存在している。本作がごくごくローカルな題材を扱いながら、幅広い普遍性を備えていることに驚かされる。監督が足掛け5年にわたって完成させたという、この渾身のドキュメンタリーに注目だ。【Movie Walker】

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