『華麗なるギャツビー』でレオがなかなか登場しない理由をバズ・ラーマン監督が語る|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『華麗なるギャツビー』でレオがなかなか登場しない理由をバズ・ラーマン監督が語る

インタビュー

『華麗なるギャツビー』でレオがなかなか登場しない理由をバズ・ラーマン監督が語る

6月14日に公開され、映画興行収入ランキングでNo.1に踊り出た『華麗なるギャツビー』(公開中)。久しぶりに輝くレオナルド・ディカプリオが拝める!しかも、『ムーラン・ルージュ』(01)のバズ・ラーマン監督が、『ロミオ&ジュリエット』(96)以来、17年ぶりにディカプリオとタッグを組んだことでも話題沸騰の本作。来日したバズ・ラーマン監督にインタビューし、久しぶりにディカプリオと仕事をした感想や、興味深い撮影秘話について聞いた。

原作は、F・スコット・フィッツジェラルドの小説「グレート・ギャツビー」。ミステリアスな大富豪ジェイ・ギャツビーの知られざる過去と、秘められたロマンスが徐々に明かされていく。映像化されるのは5度目となるが、バズ・ラーマンは本作を、ゴージャスでドラマティックな3D映画にして放った。そう、ラーマン監督は、古典に新解釈を与え、センセーショナルな作品に仕上げるのが得意な映像作家だ。古典を映画化する理由については、「私たち人間のことを知りたいから」だと語る。

映画『華麗なるギャツビー』といえば、1974年製作のロバート・レッドフォード版の印象が強いが、本作は脚本上、少しアレンジが加わっている。「レッドフォード版の脚本家はフランシス・フォード・コッポラだが、今回はギャツビーと、ヒロインのデイジーの内面をもう少し押し出そうと思ったんだ。だから、他のフィッツジェラルドの本も読み、いろんなリサーチをしたよ。たとえば、デイジーのモデルは妻のゼルダではなく、ジェノバ・キング(大富豪の娘)だったという説もあった。実際に彼女がフィッツジェラルドに送った手紙も発見されているから、そのジェノバの言葉も引用しているよ」。

ディカプリオ扮するギャツビーの登場シーンは強烈なインパクトを放つ。と言っても、トビー・マグワイア扮するニック・キャラウェイが、ギャツビーについて回想していくという設定なので、しばらくニックやデイジーたちとのやりとりが延々と続く。ギャツビーが姿を見せるのは、散々じらされた後というところも憎い。「『カサブランカ』(42)からヒントを得たんだ」という監督。「ハンフリー・ボガート扮するリックもそうで、ずっとじらされ、『いったいリックってどんな人なんだろう?』と思っていると、いきなり現れる。そこで、おおーっ!となるんだよ」。

その登場シーンでは、花火が上がり、「ラプソディ・イン・ブルー」が流れる。「フィッツジェラルドの原作にもいろんなジャズ集が出てくるんだが、そこにラプソディ・イン・ブルーもあったので、あえて使ったんだ。あれは、ニックが頭の中で想像したものを再現したものだよ。自分の人生を変えてしまうような人と出会う時って、誰しもが、まるで花火が上がるような感じを受けるんじゃないかと思ってね」。

今や一流のトップスターとして君臨するディカプリオとは、お互いに意見を出し合い、とても良いコラボレーションができたそうだ。では、変わってないところは?と聞くと、彼は昔のディカプリオとのエピソードを話してくれた。「実は『ロミオ&ジュリエット』を作る前に、彼をオーストラリアに呼んだんだ。その時、彼は仲間を大勢連れて行きたいからと言って、航空券をファーストクラスからエコノミークラスに変更して、大勢の友人たちとやって来た。それから20年近く経つのに、彼はまだずっと同じ仲間たちといる。両親も近くにいて、とても大事にしているね。また、とても面白いところは変わってないよ。今回は、そんな彼のユーモラスな部分を引き出そうと思ったんだ」。

確かに、劇中でのギャツビーは、深い心の闇を掘り下げると共に、ユーモアあふれる面も引き出された魅力あふれるキャラクターとなっている。「彼は、『タイタニック』(97)以来、あまり華やかなカリスマ性をスクリーンでは解き放ってこなかったから、今回はそれを打ち出したいと思った。そういう意味では、ギャツビーという役は彼にもってこいの役柄だったよ。ギャツビーは、アメリカ版『ハムレット』だと僕は思っている。チャーミングでカリスマ性があり、しかも複雑なキャラクターで、本物のスターでなくては演じられない役だから。レオだからこそ、ギャツビーを演じられたと僕は思っているよ」。

ディカプリオのファンも待ってました!とばかりに、魅惑的なギャツビーにほれぼれするに違いない。映像美やファッションなどの装飾だけではなく、深みのあるストーリーに至るまで、こだわり抜いた贅沢なエンターテインント作品『華麗なるギャツビー』。本作は、映画はスクリーンで見るという価値観を再認識させてくれる、そんな質の高い作品だ。【取材・文/山崎伸子】

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