『ドラゴン・タトゥーの女』から一転!ルーニー・マーラが訳アリの母親役に挑む|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『ドラゴン・タトゥーの女』から一転!ルーニー・マーラが訳アリの母親役に挑む

インタビュー

『ドラゴン・タトゥーの女』から一転!ルーニー・マーラが訳アリの母親役に挑む

デヴィッド・フィンチャー監督作、『ソーシャル・ネットワーク』(10)ではロングヘアに品のいいハーバード大学のお嬢様、『ドラゴン・タトゥーの女』(11)では、リスベット役でヌードも披露するなど、体当たりの演技で女優魂を見せてくれたルーニー・マーラ。

同作で第84回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされるなど若くして頭角を現したことで、「人生が一変した」というルーニーだが、街で歩いていても気が付かれることは稀なのだとか。しかし、レッドカーペットで見せてくれるエッジの効いたモノクロのシンプルかつ個性的なファッションは、既にファッションアイコンとして注目を集めている。

この日もルーニーは、髪をアップにし、黒のスパッツにインナー、白いジャケットの裏から垣間見える黒い襟がスタイリッシュなシンプルなファッションで、インタビューに応じてくれた。

口数が少ないダークな役どころが多いせいか、透き通るような白い肌に、長いまつげと大きな瞳が、一見神経質そうに見受けられる。しかし、ファッションについて聞かれると、「自分がファッションアイコンと言われてもピンとこないわ。白黒だけじゃなくて、この前は緑も着たけどね(笑)。このジャケットは日本製よ」と、わざわざジャケットを脱いでタグを見せてくれたり、椅子の上であぐらをかいたりと、イメージよりはとても気さくな印象を受けた。

「別に静かな役を選んでいるわけではないの。ミュージカル映画はだめだけど、コメディもやってみたい」というルーニーが、今回挑んだ新作は、サンダンス映画祭、カンヌ国際映画祭に出品されたデヴィッド・ロウリー監督の最新作『Ain't Them Bodies Saints(原題)』だ。

監督によれば、「故ロバート・アルトマン監督の大ファンで、異色ウエスタン『ギャンブラー』(71)の影響を多分に受けている。テレンス・マリック監督のデビュー作『地獄の逃避行』(73)や『俺たちに明日はない』(67)で描かれているような、かつてアメリカ社会の悲劇的結末を踏襲しながらも、撃たれまくりのエンディングは避けた」と、いうこだわりを見せている。

舞台は、1970年代のテキサス。悪事を繰り返したアウトローの恋人同士、ボブ(ケイシー・アフレック)とルース(ルーニー)は、警察に逮捕されてしまう。ルースの身代わりに刑務所行きになったボブは、ルースがボブの娘を出産したことを知り、ふたりに会うために脱獄をたくらむ。ボブを待ちながら娘を育てていくルースを、陰で見守りひそかな恋心を抱くのは、地元保安官パトリック(ベン・フォスター)で、決してかみ合うことのない、3人のそれぞれの思いと人生が交錯していく姿が、詩的でスローなタッチでなんとも切なく描かれている。

「ルースという母親は、幸せに結婚して子供を産む普通の母親とは違うの。だから、普通の母親を演じるためのリサーチはあまり意味がなかったわ。監督がシナリオを書く際にかなりしっかりとしたイメージが出来上がっていたので、それに従って演じたの」

「ルースは、ボブを思っている時間が長いから、ケイシーとはあまり一緒に撮影する時間はなかったわ。でも、ケイシーが先に撮影をして、私が合流して一緒のシーンを撮った後、彼は現場を離れてしまったので、その場にいない人を思い続ける、という状況を作ってもらったのもとても演じやすかった」と、ルーニーは当時に様子を語る。

「ボブは、独房の中でひたすらふたりとの再会を夢見ているだけでまったく成長していないが、ルースは、罪の意識で愛するボブをひたすら待ちながらも、娘の成長とともに、まともな人生を歩むために前に進んで、成長していかなくてはならないんだ。そんな複雑な心の葛藤を演じられるのは、現代的ではないルーニーしかいなかった」と監督に言わしめる通り、ルーニーは見事その要望に応え、もの静かながら複雑な心境を抱えた母親役を演じきった。

またケイシーの大ファンだったという監督は、「シナリオを描いたとき、ケイシーやルーニーを頭に描いたわけではないんだ。でもふたりが僕の第一希望だった。ケイシーは、主役を張るタイプの俳優ではないけれど、幅広い演技ができる俳優だ。声のトーンも好きだし、会ってみて本当にナイスガイだった」と語っており、ケイシーにルーニー、そして『X-MEN:ファイナル ディシジョン』(06)などのブロックバスター映画から、ブロードウェイの舞台「Orphans」など幅広いジャンルで活躍するベン・フォスターと、3人の才能あふれる俳優たちを迎えることができたことに、ご満悦のようだった。

ルーニーの才能は、多くの名監督たちの目にもとまり、スティーヴン・ソダーバーグ監督作『サイド・エフェクト』(9月6日公開)、スパイク・ジョーンズ監督最新作『Her』(全米2014年1月10日公開)、タイトル未定のテレンス・マリック監督作、そして現在は、スティーヴン・ダルドリー監督作のアドベンチャー・スリラー『Trash』(全米2014年5月1日公開)を撮影中。「今度の役どころは、物静かではないそう」で、今までと違ったルーニーを見ることができそうだ。

また、「私も楽しみにしているんだけど」としか語らなかった、『ドラゴン・タトゥーの女』の続編『The Girl Who Played with Fire』(公開未定)の製作もオフィシャルに決定しているが、コメディで笑顔一杯のルーニーが見られる日もまた待ち遠しい。【NY在住/JUNKO】

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