西島秀俊、自らハンドルを握り、決死のカーチェイス!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
西島秀俊、自らハンドルを握り、決死のカーチェイス!

インタビュー

西島秀俊、自らハンドルを握り、決死のカーチェイス!

西島秀俊が、満を持して挑むアクションサスペンス『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』が1月24日(土)から公開される。体を張ったアクションだけではなく、なんと自らがハンドルを握り、ド迫力のカーチェイスにもトライした。しかも演じたのは、何者かによって記憶を上書きされた天才科学者役という点が興味深い。西島にインタビューし、撮影秘話を聞いた。

本作は、第15回サントリー・ミステリー大賞読者賞を受賞した司城志朗の同名小説の映画化作品。会社員の石神武人(西島秀俊)がある日帰宅すると、自分の妻(中村ゆり)が殺害されていた。動揺する彼が、突然鳴った電話に出ると、それは妻の声だった!やがて石神は、警察と名乗る男たちに追われ、逃亡していくが、気がつけば、韓国人の天才科学者、オ・ジヌという別人の記憶が、頭の中で混在するようになっていく。

手に汗握るカーチェイスシーンだが、まさか西島自身が運転していたとは。「僕は、運転が大好きです。車やバイク、自転車など、基本的に乗り物が好きなので、すごく楽しかった。アクションは、屋根から落ちたり、大男に壁に投げつけられたりすることも、基本的には自分でやりたいです。今回のカーチェイスのシーンでは、『これ、やらせてもらえませんか?』と言ったら、向こうがOKをしてくれました。リハーサルをして『じゃあ、こう走って、こう乗り上げて、こっちへ回って』って感じで」。

西島は、「役者は、アクションも本当は自分でやりたいと思います。もちろん演技もしないといけないから辛いところですが、考えてみたら、以前は普通に運転もしていましたね。今はそういう機会も減りましたけど。ドラマ『あすなろ白書』(93)では、ポルシェの左ハンドルのマニュアルでしたが、その場で運転した覚えがあります。今回も違和感なくやれましたし、むしろ、自分でやりたいです」。

実際に、冷やっとした瞬間などはなかったのだろうか?「車に関しては特になかったですね。どちらかというと、最初の方でぱっと人が出てきて、ギリギリで避けるシーンが怖かったです。『絶対に避けるから、ブレーキは踏まないで』ということで。まあ、常にアクションチームは本当に体を張ったアクションをしてたので、ケガもしているのかもしれないけど、大事故になるようなことはなかったです」。

西島は、イ・ジェハン監督作『サヨナライツカ』(10)、オドレイ・フーシェ監督作『メモリーズ・コーナー』(11)、アミール・ナデリ監督作『CUT』(11)など、近年ボーダレスに海外の監督作に出演してきた。本作も、『美しき野獣』(06)のキム・ソンス監督がメガホンを取ったが、その苦労とやりがいについてはこう語る。「違う国のスタッフ同士が共同作業をするのは本当に大変なこと。やっぱりぶつかるし、怒鳴り合いになったりするなかで、それでも、お互いに話してやりたいことを理解し合い、少しずつ信頼関係が積み上がっていきます」。

そしてその結果、撮影の最後は泣きながら別れるという感動的な結末を迎えることに。「僕は俳優なので、そんなにぶつかることはないんですが、やっぱり技術パートや製作の方は、一言では言えないような大変なことがいっぱいあり、みんなでそれを乗り越えたからこそ、泣いたんじゃないかなと。現場がバラバラになるのは簡単なことで、実際そうなる可能性もたくさんありました。でも、監督が、撮影が終わった時、全員にありがとうと、日本語と韓国語で言いながら、握手をして回るような方だったので、監督が頑張っている姿をみんなが見ていて、ついていったんだと思います」。

最後に、西島が今後目指す役者像について聞いてみた。「20代の頃は、目の前の仕事でめいっぱいでしたが、大人の男というものを演じられるようになりたいとはずっと思ってきました。いま、自分が40代になり、それができているのかと言われると、全然できていないのですが、40代の自分は、50代の役者さんの演技に憧れますね。また、アクションについては、今まで機会もなく、できていなかったのですが、今は『MOZU』というドラマでもすごいアクションをやらせてもらっているので、今後もそういう機会が増えていくと良いなと思っています」。

西島にとってアクション元年となった2014年。『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』では、そんな西島の体当たりアクションをたっぷりと堪能して。新しい年も、ますます俳優として成熟し、魅力が増していく西島秀俊の動向を追っていきたい。【取材・文/山崎伸子】

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