快男児クリス・ヘムズワース、天才レーサー役で「渡米から7年、いま夢が叶った」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
快男児クリス・ヘムズワース、天才レーサー役で「渡米から7年、いま夢が叶った」

インタビュー

快男児クリス・ヘムズワース、天才レーサー役で「渡米から7年、いま夢が叶った」

いまも伝説として語り継がれている1976年のF1グランプリで、トップを争ったジェームス・ハントとニキ・ラウダ。天才レーサー2人の命がけの闘いと、ライバル関係を超えた絆を描くドラマ『ラッシュ プライドと友情』が2月7日(金)から公開される。来日を果たしたハント役のクリス・ヘムズワースとラウダ役のダニエル・ブリュールに単独インタビューし、どのようなアプローチで役を演じたのか聞いた。

F1界きってのプレイボーイで、感性に任せたドライビングを得意としたハント。演じたヘムズワースは「演じていて本当に楽しいキャラクターだった。彼は豪快に人生を楽しんでいからね(笑)。でも、その人物像は単純じゃない。常に恐怖や不安と戦っていたはずなんだ」とハントの光と影を分析する。「彼は情熱を持ってレースに取り組んで、徹底的に突きつめて、トライすることを恐れなかった。彼に倣って、僕もトライする自由を満喫したよ」。

一方、“コンピューター”と称されるほど精密な走りでF1界をけん引したラウダ。ブリュールはラウダを演じるうえで「計算高くて冷たいだけの嫌なヤツに終始してしまう“危険”があった」と語る。「でも、彼も感情を持っているからね(笑)。本作では物語が進むにつれて、ラウダの感情的な部分が強調されるんだ。ラウダ本人に会ったときに『僕を演じることを恐れちゃダメだよ』と後押ししてくれたおかげで、うまく演じることができたよ」。

頂点を極めた者同士のライバル関係や手に汗握るレースシーンなど、実在したF1レーサーになりきった彼らだが、意外にも俳優との共通点を見出したようだ。ブリュールは、「役者という仕事はレーサーのように死に直面することはないけど、タフな仕事であることは間違いない。いつも不安やプレッシャーを感じながら演じているんだ。その点では彼らの感覚と共鳴する部分がある」と、その心境を吐露。これにヘムズワースも頷きながら、「僕の仕事について、仲の良い友人ですらわかってもらえない部分がある。特にハントやラウダのような実在の人物を演じることに対する緊張感は、演じている本人たちにしかわからないはずだよ」。華やかな表舞台に立つ彼らだが、職業として俳優を続ける難しさを共有していた姿が印象的だった。

地元オーストラリアのTVドラマでデビューし、『マイティ・ソー』シリーズで一躍人気を集めたヘムズワースと、出身地のドイツを中心にヨーロッパで着々とキャリアを重ねてきたブリュール。そんな異なる出自を持つ2人のフィルモグラフィの中でも、本作は特別な意味を持つ。ヘムズワースは「バックパックひとつでアメリカに渡ったのが7年前。当時はお金もほとんどなかった。それが、いまやこうやって映画に出て、アメリカに定住していられる。本当に感謝しなくちゃいけない。特に本作のような素晴らしい作品に出演することができて、夢が叶った思いだ」としみじみ振り返った。また、ブリュールは「ほかの国で活躍するということは僕のようなドイツ人の俳優にとって簡単なことではない。巡り合わせがよかったんだ。『視野を広げてみよう』と思って挑戦したら、クエンティン・タランティーノ監督の『イングロリアス・バスターズ』(09)やロン・ハワード監督の本作につながった。だから、この映画は僕にとって特別な贈り物なんだ」と喜びを表現した。

ヘムズワースとブリュールのターニングポイントとなった『ラッシュ プライドと友情』。2人は、つきまとう不安や孤独を振り切るかのように天才レーサー役を熱演している。キャラクターの奥にある多面的な心情まで見せる本作での演技に、ぜひ注目してもらいたい。【取材・文/トライワークス】

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