「出来上がってるじゃねえか、バカヤロウ」藤原竜也、佐藤健との初対面の印象を語る|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
「出来上がってるじゃねえか、バカヤロウ」藤原竜也、佐藤健との初対面の印象を語る

インタビュー

「出来上がってるじゃねえか、バカヤロウ」藤原竜也、佐藤健との初対面の印象を語る

大人気コミックを実写映画化した『るろうに剣心』の公開から約2年。待望の続編が『るろうに剣心 京都大火編』(8月1日公開)『るろうに剣心 伝説の最期編』(9月13日公開)となって、二部作連続で公開される。原作ファンに最も愛されている「京都編」をもとに、主人公・緋村剣心と宿命の敵・志々雄真実との死闘を描く物語。初共演にして、それぞれの信念と魂が激しくぶつかり合う2人を演じたのが、佐藤健と藤原竜也だ。これ以上ない、見事なハマりっぷりを見せた役柄への思い。互いへの信頼感を聞いた。

日本征服を狙う男・志々雄が登場。もとより原作ファンであった佐藤だが、「『るろうに剣心』の実写化はハードルの高いものだけれど、その中でも志々雄を実写化することは、ものすごく大きなハードルだと思っていた」というように今作の大きなカギは、志々雄役が握っていた。佐藤と藤原の初共演シーンは、奇しくも、剣心と志々雄が初めて顔を突き合わせる場面だったそう。佐藤は「クランクインして、藤原さんが志々雄として声を発した瞬間に『この人、“最狂”だ』と思えた。僕も監督もスタッフも、『いけたぞ』と思えた日だったんです」と、初対面の瞬間に成功を実感したという。

一方の藤原は、初対面のシーンをこう振り返る。「あのシーンでは、剣心も、神木くんの演じる瀬田宗次郎もいたんですが、『みんな出来上がってるじゃねえか、バカヤロウ』って感じで(笑)。良い緊張感があって、本当に楽しかった。健くんとの初共演のシーンでもあったし、『ここから始まるんだな。いよいよスタートだな』という気持ちで、現場に入らせてもらいました」。「温度の高い現場」は、藤原の心を大いに震わせたようだ。

政府のダークサイドを知り過ぎて、口封じのために身体を焼かれた過去を持つ志々雄。火傷を負っているために、全身は包帯でグルグル巻き。異様な姿からも、不気味な悪のオーラを発する役だ。佐藤は、「志々雄はカリスマ性ありきのキャラクター」と分析。「漫画だと時間をかけて、この人の背景はこうなんだということが描ける。でも映画だとその時間がないので、出て来た瞬間にその背景を感じさせる説得力がないといけない。志々雄は、どんな演出をしようが、どんな衣装を着せようが、カリスマ性のない人には無理な役で。藤原さんには、誰よりもその説得力があったんです。藤原さんが志々雄をやってくれて、本当に良かった」と、志々雄に魂を吹き込んだ藤原に感謝しきりだ。

藤原に志々雄の魅力を聞くと、「『弱肉強食』との言葉を掲げながらも、同じ境遇にいる仲間に手を差し伸べて、国に立ち向かっていく男。僕は、彼を絶対悪だとは思わないんです。この映画では、志々雄だけじゃなくて、それぞれのキャラクターが深い傷と過去を背負っていて。悲しき者たちのぶつかり合いなんです」とコメント。全身包帯の衣装に関して藤原は、「耳も聞こえないし、暑いし、トイレも行けないし、ご飯も食べられない。朝7時からこの衣装を着たら、もう不機嫌になりますよ。それが役にもプラスになっているんじゃないかな」と冗談めかし、佐藤も「フラストレーションで!」と笑う。

悪役とはいえ、原作ファンにも人気の高い役を演じることとなったが、「僕はこれまでも、原作ものを何回かやらせてもらったことがあるんだけれど、ある瞬間からスパッと気持ちを切り替えないと成立しないと思っていて。映画を見てもらった結果、肯定も否定もされるのは自分自身なわけで。そこはしっかり責任を持って、『この役をしっかりと生きるんだ』と思うしかない」と藤原。大役にも責任と役者としての誇りを持って挑んだ。

本作の最大の見どころとなるのが、壮絶なアクションだ。前作でも観客を圧倒したアクションシーンが、よりパワーアップ。息を呑むシーンの連続となる。佐藤は「前回やったことが、今回はできて当たり前というところから始まって。あと、どれくらい行けるのかは誰にもわからない。ただただ頑張って、どこまで上を目指せるのかという勝負でした」と力強く語る。

藤原はそんなストイックな佐藤の姿を目の当たりにして、「ここまで体が動いて、表現ができる人はこういう世代では少ない。佐藤健くんという俳優は、非常に貴重な存在」と惚れ惚れ。「俳優って、『本番よーい、スタート』と言われて感情を表現しなければいけないわけで。そこまでに感情を持っていくのって、結構大変なことなんです。健くんを見ていると、ときに不器用で、周りも見えなくなって、自分自身を削りながら表現をしている。『良い俳優だな』と思って見ていました」。すると佐藤は「本番で出せたら、他はもうどうでもいいと思っているんです。ただ良い映画を作りたいだけ」と、その思いはどこまでも真っ直ぐだ。

藤原は「今思い出してみても、剣心と志々雄として死闘を繰り広げられたのは、楽しかったですよ。勝ち負けを通り越して、ただただぶつかり合っていた。人生の貴重な1ページになったと思います。白ワインでも飲みながら、健くんの家で『伝説の最期編』を見たいね」と嬉しそうにニッコリ。佐藤は「それ、やりたいですね!アクション部も交えて」と答える。そこには、限界を超えて、出せるものをすべて出し切った者同士の、清々しい笑顔があった。【取材・文/成田おり枝】

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