『ホットロード』の能年玲奈と登坂広臣、彼らが抱えていた不安とは?|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『ホットロード』の能年玲奈と登坂広臣、彼らが抱えていた不安とは?

インタビュー

『ホットロード』の能年玲奈と登坂広臣、彼らが抱えていた不安とは?

1986年から別冊マーガレットで連載され、当時の中高生たちの心を震わせた伝説的コミックの実写映画化が実現。映画『ホットロード』となって、8月16日より公開される。主人公・和希役に抜擢されたのは、NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」で国民的人気女優となった能年玲奈。和希と恋に落ちる不良少年・春山役を三代目J Soul Brothersの登坂広臣が演じる。2人にとっては、間違いなく新境地を切り開くこととなった本作。偉大なタイトルにどのように向き合ったのかを聞いた。

心に傷と寂しさを抱えて生きる少女・和希と、少年と大人の狭間で生きる春山。本作は、そんな2人の純度の高い恋を描く物語だ。彼らの痛々しいほど真っ直ぐな思いに、80年代の少年少女は憧れ、今なお鮮やかな感動として心に刻まれているはずだ。能年にとっても、「すごく空気感がきれいな作品だと思って。吸い込まれるような、素敵な作品だと思いました」と原作の印象はみずみずしいものだった様子。

ただ80年代を舞台にした作品だけに、「私の知らない世界がそこにあった」とも。「時代背景が違うので、そこの溝をどのように埋めたら良いかは悩みました。でも、三木(孝浩)監督は『今の若い人たちにも通じるような話にしたい』とおっしゃっていて。私も、親への反抗心などは、今の若い人にも通じることなのかなと思いました」と物語の持つ普遍性を感じて、作品に臨んだ。

一方の登坂も「恋人同士の愛はもちろん、親子の愛や友情も描かれている。『大切な人ができたからこそ、自分のことを大切に思える気持ち』というのは、男女間だけでなく、世代も問わず通じるもの。そういった大事なものを描いているところが、多くの人の心をつかんでいるんだと思いました」とじっくりとコメント。本作の人間ドラマとしての側面にも惹かれたという。

時代を超えて愛され続ける伝説的コミック。それだけに、能年は「ビックリしました」と和希役への抜擢の瞬間を振り返る。「あまちゃん」の次なる主演作として、本作を選んだのは大きな決断だったようにも思えるが、「たくさんの方に愛されている原作なので、原作ファンの方を裏切らないように、忠実に和希を演じなければいけないというのが、大前提だった」と、強い眼差しを見せる。

登坂にとっては、映画初出演にして、多くの少女の胸を焦がした大役に挑むこととなった。「リアルタイムで原作を読んでいた方が自分の周りにもいて。『あのホットロードをやるんだ!』と驚いていましたね。そういったリアクションで、『世に与えた影響が大きい作品なんだな』と肌で実感しました」。さらに「初めての映画でもありましたし、不安もありました。自分の中で考えに考えたし、葛藤もした」と胸の内を明かす。

これまで映画化が実現していなかったが、原作者・紡木たくが、「能年、登坂の演じる和希と春山を見てみたい」と思ったことがきっかけのひとつとなった。2人にとっても、このことが大きな支えとなったそう。能年は「紡木たく先生、他映画関係者の方が、私を和希役に選んでくださったと聞いて、それはすごく嬉しくて、喜ばしいことでした」と笑顔をこぼす。登坂も「紡木先生からお墨付きをいただいた。それが何より、自分の自信になりました。一番の不安を払拭してくれた要素だし、背中を押してくれたことです」。

続けて登坂は、「紡木先生といろいろとお話をさせていただいたんですが、最後に紡木先生が『春山役をやりたいですか?』と聞いてくださったんです」と紡木との対面を思い出す。「それは、先生の中にある大切なものを自分に渡してくれたような瞬間だったような気がして。その時は、すごく気が引き締まって、未熟ながらも精一杯やろう。自分にできることはすべてやろうと思いました」。熱い思いを胸に、硬派な春山を作り上げた。

原作者お墨付きのキャスティングで今、甦る『ホットロード』。全身全霊で大役にぶつかった能年と登坂の熱演。そして、映画の余韻とともにエンドロールを彩る尾崎豊の名曲『OH MY LITTLE GIRL』は、きっとそれぞれの青春を呼び覚ましてくれるはずだ。【取材・文/成田おり枝】

作品情報へ

関連作品

  • ホットロード

    3.3
    962
    「あまちゃん」の能年玲奈主演、紡木たくの同名少女漫画を実写映画化した青春ドラマ
    Amazon Prime Video U-NEXT Hulu

関連記事