大沢たかおと石原さとみ、爆笑撮影秘話を告白|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
大沢たかおと石原さとみ、爆笑撮影秘話を告白

インタビュー

大沢たかおと石原さとみ、爆笑撮影秘話を告白

雄大なケニアの大地で、風に吹かれながら佇む医師・島田航一郎。映画『風に立つライオン』(3月14日公開)に込められたメッセージを、雄弁に語る名シーンだ。演じたのは、本作のモチーフとなった、さだまさしの曲にインスパイアされ、映画化を待ち望んできた大沢たかお。そこには、特別な思い入れがある。

大沢と共演した石原さとみも、大沢と共にケニアロケに挑み、そこでいろんなことを感じた“同志”だ。2人が本作にどう向き合ったのか?それが知りたくて、インタビューを敢行した。

大沢演じる島田航一郎は、国際医療ボランティアとして活動してきた実在の医師・柴田紘一郎がモデルとなっている。彼には、長崎に残してきた恋人の女医・貴子(真木よう子)がいたが、一時的に派遣されたはずのケニアの研究施設で現地のケガ人と接する内に、ある決意をする。石原は、航一郎と共に、戦傷病院で働く看護師の草野和歌子役に扮した。

大沢と石原は、本作で初共演をした。大沢は石原がケニア入りした時のことをこう振り返る。「僕はすでに長崎やアフリカでロケをしていて、スタッフとの関係が深くなっていたんですが、彼女は途中から飛び込んできたわけです。荒くれ者の多いチームで、しかも彼女は当時、ドラマを撮っている最中だったから、かなり違う世界にいたはず。ケニアに入るのは、すごく苦しい作業だったと思いますが、実際、彼女は最初、やはり緊張していました。必死で隠しているんだけど、バレバレで(笑)。受けるな、この人と思って」といたずらっぽい表情で石原をいじる。

特に、最初のシーンは、現場で話し合いを必要とするやっかいなシーンだったが、大沢はそこで、石原の行動に驚いたと言う。「そんな初日に、彼女は自分の役についての意見を言ったんです。『原作本はこうだから、自分はこう感じている』と、監督や僕、医療指導の人の前で。正直、その時はびっくりしました。ああ、この人は本当にしっかり準備ができていて、トップギアできてるんだなと。本当に日々、過酷な場所で撮影をしていたんですが、彼女は全く弱音を吐かずに、どんどんみんなにも溶けこんでいったし、お芝居はベストを尽くしてくれました。それで、ああ、こういう子が次のリーダーになっていくんだなと、すごく感じました」。

石原は大沢の言葉に恐縮しながら、クランクイン当時の現場について語った。「確かに私は途中参加だったので、すごくアウェイ感があるのかなと思いながら入りました。行ってさらっと名前を紹介され、すぐオペシーンだったんです。とにかく必死でしたが、翌日もそのオペシーンの続きがあって。大沢さんはマスクと帽子をつけていて、目しか見えなかったんですが、そのシーンの後、すごく私に微笑んでくださったんです。それで安心したのですが、後で話をしたら、私がオペシーンの手違いに気づいてなかったから笑ったんだと言われまして」と苦笑い。

大沢は「本番で、道具を渡すシーンで逆を渡されたんです。でも、本人はやりきった感で、ガッツポーズをするくらいの勢いでした。間違えたことを言ったらかわいそうだから、もうOKにしておこうと思って、笑ったんです。後から『何、言ってんだ!? 間違っていたからだよ』と突っ込みました」と爆笑する。石原も「私は、間違えていたことを、その時初めて知って。あの微笑みは、笑われていただけなのだとわかってショックでした」と2人で笑い合った。

その後、石原は真面目な表情に戻し、現場での大沢についてしっかりと賛辞した。「現場での大沢さんは、すごくタフで頼りがいがあるし、心から尊敬できました。子どもたちとのコミュニケーション能力もすごく高いんです。お話をしていて本当に楽しいんですが、大沢さんがいなくなると、子どもたちの笑顔も減ってしまうんです。私は、英語でコミュニケーションを取るのにただただ必死でしたが。でも、どんどん撮影が楽しくなっていって、その場から離れるのが悲しく感じられるくらいでした。それは、和歌子として途中からケニアへ来て、看護師として参加し、航一郎が戻ったり現れたりするのを見ている気持ちとシンクロしていていたように思います。そう考えると、私はケニアでちゃんと和歌子として生きられたのだなと思いました」。

いつも前向きで、笑顔が爽やかで、子どもたちに慕われる島田航一郎はとても魅力的で、大沢の素顔そのものだったと石原は語る。「大沢さんは、吸引力も影響力も大きい。航一郎もそうですが、あんなにひとりの人間の存在が、多くの人に影響を与えることができるなんてすごいなあと思いました。私は、英語やスワヒリ語のセリフがあるし、医療もあるしで、今回プレッシャーが大きかったので、行く前に三池(崇史)監督にいろいろと細かいことをお聞きしたんです。でも、監督は漠然としたことしかおっしゃらないし、『アフリカに行ったら大丈夫。大沢さんに会ったら大丈夫』とだけ言われて。実際、行ってみたら本当にそうでした。現場でアフリカの風を感じたら、わかることが多くて、迷いなく演じられました」。

2人に話を聞いてみて、大沢は医師・島田航一郎として、石原は看護師・草野和歌子として、ケニアの大地で特別な体験をしたのだと実感。そして三池監督は、その勇姿を余すことなく活写した。人間の気高さをたたえた、力強い作品『風に立つライオン』は、ぜひ大きなスクリーンで見てほしい。【取材・文/山崎伸子】

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