RADWIMPS・野田洋次郎「この役は、自分だと思えた」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
RADWIMPS・野田洋次郎「この役は、自分だと思えた」

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RADWIMPS・野田洋次郎「この役は、自分だと思えた」

「RADWIMPS・野田洋次郎が映画に出演する」。この一報が駆けめぐった時、どんな映画になるのだろうか? そう胸を弾ませたRADWIMPSファンも多かったはず。筆者も間違いなく、その一人だ。自身の初主演作となる『トイレのピエタ』(6月6日公開)に、野田はどんな気持ちで臨んだのか、率直な思いを聞いた。

野田が演じているのは、画家の夢を諦め、日々をなんとなく過ごす青年、園田宏。ある日突然、余命宣告をされ、自分の生死に向き合っていく。本作で初めて演技に挑戦したのにも関わらず、彼の演技は自然体で違和感はない。それもそのはず、この役柄を野田は「他人事とは思えなかった。自分のようだった」と表現する。

「もし、自分の音楽を世間に受け入れてもらえないまま、宏と同じように数十年経っていたとしたら…と考えると、彼の気持ちが痛いほどよくわかります。宏が絵を描かなくなった理由も、世界を斜めから捉えている行動も、すんなり受け入れることができたんですよ」と語るように、このオファーは野田にとって運命的だった様子。

さらに、「演じていて、宏と自分の境目がなくなることもあった」という驚きの発言も。「もともと不器用でカッコ悪い奴が好きなんです。人間らしくて、美しいなって。だから、宏が発する言葉で理解できないところはなかったです」と、宏と一心同体となって演じていたことも明かしてくれた。

どう生きるべきか、死ぬべきかもわからない毎日を過ごす宏の前に現れるのが、杉咲花が演じる真衣。宏と真衣との交流は、恋愛とは一言では言いきれない、人間と人間との深い繋がりを感じさせてくれる。

これには野田自身も特別な思いを寄せているようで、宏と真衣との関係について「“魂”と“魂”だと思います。宏が真衣に出会えた喜びは、例えば、荒野にポツンと咲く綺麗な一輪の花のようなかんじ。この世界を不器用に下手クソに生きている人間が自分以外にもいるということが、宏にとって絶望の中の救いになった。恋愛感情もあったかもしれませんが、それを超越した、本来、人間がこういうふうに交わりたいという1つの形だと思います」。

さらに野田は、宏と真衣は“人との繋がり”を体現する合わせ鏡のようなものだとも付け加える。「今の社会において、人間関係で重要視されているのは、毎日携帯で連絡を取り合ったり、食べ物は何が好きとか、どんなタイプが好きか…ですよね。でも、この二人はそんなこと何も知りません。人間と人間が根っこで繋がりたい時に、今、僕らが大事そうに抱えているものって、ほとんど意味を成さないんじゃないかって。この映画はそういう大事なことを伝えてくれている気がします」。

見る者の目を引き付けて離さない、そんな吸引力を放つ俳優・野田洋次郎。彼の演技からは、RADWIMPSとして音楽で表現しているものにも通じるメッセージも感じることができるだろう。野田の初挑戦となった渾身の演技を心と目に焼き付けてほしい。【取材・文/トライワークス】

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