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映画『ハゲタカ』凄いテンションと緊張感の撮影現場模様とは?

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映画『ハゲタカ』凄いテンションと緊張感の撮影現場模様とは?

映画『ハゲタカ』(6月6日公開)の記者会見が5月11日に開催され、大森南朋、柴田恭兵らテレビシリーズからの出演者と、玉山鉄二ら映画版でのオリジナルキャスト、そして製作陣が登壇した。

映画の前身である、2007年に放送されたNHKのテレビドラマ「ハゲタカ」は、“企業買収”というテーマとそれに関わる人間模様を描いた骨太な作品。国際的な番組コンクールであるイタリア賞のシリーズドラマ番組部門で最優秀賞(イタリア賞)を受賞し、満を持しての映画化となる。

登壇した多くの俳優が撮影現場の様子を“緊張感”と言い表した。天才ファンドマネージャー鷲津を演じた大森は、「(テレビシリーズの)凄いテンションを引き戻せるかどうか心配でした」と現場を振り返り、「でも(テンションが)確実に戻ってきて、やりきった感がある」と自信を覗かせた。

その緊張感の一因は、「現場はLIVEだ!」と語る大友啓史監督の撮影手法。常に複数台のカメラで撮られるため、鷲津(大森)の相手・劉一華を演じた玉山鉄二は、「カメラが回ってないときも、糸が張りつめた感覚。クランクアップして2週間くらいは抜け殻のようになって、普段の生活に戻れない感覚でした」と漏らすほど。「ドキュメンタリーと思ってやっていた」と話す中尾彬の言葉も肯ける。

テレビシリーズに続いて演出した監督は、「(撮影の)方法論はテレビシリーズのタッチを期待する方が多いので、同じやり方を通させてもらいました。本当にいい芝居が撮れたと思っています」と俳優陣を褒め称えた。

本作が話題になったのは、今まであまり手を付けられてこなかった“経済”というジャンル。しかし、製作陣が目指したのはあくまでも“人間ドラマ”だ。訓覇(くるべ)プロデューサー曰く、「一番リアリティのある経済というものを通して、人間の持つ感情、人間ドラマを描きたい」。経済危機が叫ばれる時代において、何か希望を探していけるものを作りたいという意図が込められている。

また、シリーズを通して、現実に起こっている経済状況や雇用事情が盛り込まれているのも特長で、それは映画にも受け継がれている。昨年9月に起きた“リーマンショック”という経済激変を受けて、構想を練り直し、撮影直前まで台本がたびたび変更された。台本に出てくる耳慣れない経済用語も手伝って、「もし次回作があったら?」という問いに対し、「セリフは少なめで(あるいはナシで)」というジョークとも本音ともとれる回答が多く、会場の笑いを誘っていた。

そして、監督が初日に伝えたという次の言葉が何とも象徴的だ。「勝者・敗者、仕掛ける・仕掛けられる、優位・不利というような演じ方はやめてくれ。とにかくみんな必死なんだ、その必死さを出してほしい」。

今そこにある現実を描く映画『ハゲタカ』は、日々必死に頑張っている人々が“今”を感じる作品に仕上がっているので、公開を心待ちにしたい。【MovieWalker/堀田正幸】

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