長谷川博己&麻生久美子が園子温の天才ぶりに驚嘆|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
長谷川博己&麻生久美子が園子温の天才ぶりに驚嘆

インタビュー

長谷川博己&麻生久美子が園子温の天才ぶりに驚嘆

『新宿スワン』が大ヒット中の園子温監督が次に放つのは、25年前に自身が手掛けたオリジナル脚本を映画化した『ラブ&ピース』(6月27日公開)だ。園監督の私小説的な要素もある本作で、主人公に扮した長谷川博己と、ヒロイン役の麻生久美子にインタビュー。2人が、園監督にまつわる驚きのエピソードを語ってくれた。

長谷川演じる冴えないサラリーマン・鈴木良一が、一匹のミドリガメと出会ってから人生が好転していき、いつしか彼が目指していた人気ロックスターの地位に登りつめていく。麻生は、鈴木と交流する、地味な同僚の寺島裕子役を演じた。

長谷川は初共演となった麻生について「隣にいるので、照れくさいんですが」と前置きした後「ずっと天真爛漫そうな感じの方だとお見受けしていたのですが、そのイメージどおりで純粋な心をもった人でした。僕もそういう素直な気持ちでいなきゃダメだなとも思いました」と印象を語った。

麻生は「長谷川さん、良い人!ありがとうございます」と朗らかに笑う。「私も長谷川さんは、イメージと変わらなかったです。悪い意味じゃなく、俳優さんにしては珍しい、無色透明な感じの方かなと思っていましたが、その通りでした。どんな役でもこなせるし、さらっと何色にでも染まれるのでびっくりしました。いろんな経験を積まれ、きっと努力もされているし、役に対して真剣に向き合っている。プロフェッショナルだなと思いました」。これには長谷川も恐縮していた。

長谷川は、『地獄でなぜ悪い』(13)に続いて園監督作は2作目の出演となり、麻生もドラマ「時効警察」で園監督の演出を受けているが、今回完成した作品を観て、改めて園監督の才能に驚いたと口を揃える。さらに長谷川の口から、園監督による即興のエピソードが飛び出した。

「僕、まともにギターも弾いたことがないのですが、今回ギターを弾くシーンがあったので、早く覚えたいから、早く曲を出してくださいと、ずっと園さんにお願いをしていたんです。でも、なかなか曲が上がってこないから、音楽プロデューサーと園さんの家まで押しかけました。そしたら、園さんがキーボードを取り出してきて、少し考えた後『東京オリンピック~♪』と弾きながら歌い始めて。それを録音したのがあの曲です」。

実際、劇中で良一が歌うこの曲は、パンチがありつつもメロディアスで耳に残る。それを聞いて、麻生も「ええ!園さん、天才だ!すごいなあ」と驚嘆する。長谷川も「ちょっと嫉妬しちゃうんですけど、天才なんです(笑)。しかもそれがすごく良い曲で、じわじわと来るんですよ」とうなる。

麻生も園監督について「やっぱり、園さんて本物だったんだなと思いました」と改めて感心する。「昔、『時効警察』をやっていた時、オダギリ(ジョー)さんがよく『園さんは、ゴーストライターがいる。本人が書いてないから』と言っていて。お二人はすごく仲が良いから、冗談を言っていたんですが、私はちょっと真に受けたことがあって(苦笑)。もちろんそうじゃないことは、後々の園さんの活躍を見ればわかることなんですが、今回、やっぱり本物だったと納得しました(笑)」。

ラブストーリー、サクセスストーリー、社会派映画、問題作、特撮映画etc...。とにかく、いろんな要素が盛りだくさんに詰まった園監督の“規格外”の作品『ラブ&ピース』。本作は、園組の面白さと豊かさを存分にわかっている2人だからこそ、その世界観を体現できたのではないだろうか。本作を観れば、園監督の無尽蔵なクリエイティビティに脱帽するしかないのである。【取材・文/山崎伸子】

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