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『アベンジャーズ』の監督が明かす、超大作の舞台裏

インタビュー

『アベンジャーズ』の監督が明かす、超大作の舞台裏

またまた『アイアンマン』ら人気ヒーローの最強軍団『アベンジャーズ』が日本に上陸!前作に続き、待望の映画化第2弾『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(7月4日公開)を手掛けたのが、ヒットメーカーのジョス・ウェドン監督だ。来日した監督にインタビューし、スゴ腕の四番バッターばかりを揃えた超大作を作るうえでの苦労話や、ヒロイズムの裏側にあるテーマについて話を聞いた。

アベンジャーズのリーダーといえば、アイアンマンとして人類の危機を救ってきた実業家で発明家のトニー・スターク(ロバート・ダウニーJr.)だ。今回彼が、世界平和を守るために、禁断の平和維持システムといえる人口知能“ウルトロン”を起動させるが、そのウルトロンにアベンジャーズが苦戦を強いられていく。

ジョス・ウェドン監督は、プロット作りがいちばん難航したと明かす。「元々、キャラクターそれぞれの個性が際立っているから、彼らを描きこむのはそう大変じゃない。たとえば、アイアンマンとソーを同じ画面に並べるだけでも十分面白いから。それよりもアベンジャーズを1つのチームとして考えて、それを新しい展開としてどう見せていくかが重要だった」。

今回は、敵方の新キャラとして、双子の姉弟スカーレット・ウィッチ(エリザベス・オルセン)やクイックシルバー(アーロン・テイラー=ジョンソン)ら新キャラクターも参戦する。「新キャラに加え、敵となるウルトロンも含めて、1つの世界観にまとめ上げていく。そのなかで、全員がプロット上で何だかの機能を果たしながら、物語を進めていかないといけない。そこがいちばん頭の痛い作業だよ」。

ヒーローそれぞれがウィットに富んだ会話を交わすシーンも本シリーズの魅力の1つだ。たとえば、今回、アイアンマンとソーが、互いのパートナーのペッパーとジェーンを自慢し合うシーンが笑える。「個人的にああいう小さいシーンも好きなんだ。脚本は、ああいうちょっとしたシーンから書き始めたりもするよ」。

さらに監督は「これはくだらない裏話だけど、あの会話は、ペッパー役のグウィネス・パルトローと、ジェーン役のナタリー・ポートマンのスケジュールを押えられないとわかった時点で後から加えたんだ。せめて名前だけでも出しておこうと思ってね」とおちゃめに笑う。

本作では、ブラック・ウィドウことナターシャ(スカーレット・ヨハンソン)とハルクことブルース(マーク・ラファロ)の切ないロマンスも展開される。「オリジナルのコンセプトは、唯一ナターシャだけが、ハルク化したブルースをなだめて落ち着かせることができるという関係性だった。あの2人は同じ穴のムジナというか、全く対極のキャラクターに見えて、実は共通点が多いんだ。自分たちもそのことに気づいてないうえに、なぜか惹かれ合う。そういうものをさりげなく見せたかった」。

惹かれ合っているのに、なかなか素直になれない2人が実にじれったいし、なんとも切ないが、それこそが監督が描きたかったテーマだった。「映画全体の大きなテーマが、ヒーローとして生きることには犠牲を伴うということなんだ。ナターシャも1人の女性として生きたいという願望があるけど、自分には託された使命があるからそれはできないと悟ってる。ブルースも同じで、普通の男として恋なんてできやしない。そういう苦悩を彼らは背負っているんだ」。

勧善懲悪のヒーローものとは一線を画し、確かにヒーローならではの悲哀や葛藤も描きこまれている『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』。ダイナミックなアクションシーンはもとより、丁寧に編みこまれた人間ドラマも味わい深い作品である。【取材・文/山崎伸子】

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