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立ち見続出映画『恋人たち』の監督が恐れたものとは?

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立ち見続出映画『恋人たち』の監督が恐れたものとは?

11月28日(土)、テアトル新宿にて、大ヒットスタートを記念し、映画『恋人たち』のトークイベントが開催され、橋口亮輔監督とクリープハイプの尾崎世界観が登壇した。

本作は、心に傷を抱えた3人の男女の姿を見つめる人間ドラマ。通り魔に妻を殺された男、突如現れた男に心が揺れ動く主婦、親友に想いを募らせる同性愛者の弁護士、それぞれの苦悩と彷徨、ささやかな希望の光を描き出す。『ゼンタイ』の篠原篤、成嶋瞳子、『ghost dance ゴースト・ダンス』の池田良、『ピース オブ ケイク』の安藤玉恵、『滝を見にいく』の黒田大輔、『家路』の山中崇、『きみはいい子』の内田慈、『映画 鈴木先生』の山中聡、『そして父になる』のリリー・フランキーらが出演する。

今月14日に公開がスタートすると、連日満席、立ち見が続き、SNSには「今年1番の映画」「傑作」といった絶賛評と共に、「そっと背中を押してくれる映画」といった感想コメントも続々と上がった本作。「無性に誰かに優しくしたくなった。無性に誰かを許したくなった。やっぱり人を信じてみようと思った。ただそれだけのことだけど、そう思えたことが嬉しかった。この映画を観れて本当に良かった」と感想コメントを書いた尾崎は、「思った通りの気持ちを書きました。(監督はこのコメントを歌みたいだねと言ったが)作品に対して作品で返したいと思ったんです。出てくる全員を救おうとしている映画だと思い、感動しました。真正面から相手に向かっていっているから感動するのだと思います」と付け加えた。

そんな感想に対し、橋口監督は「結局『よし!』って言って生きていくしかないんじゃないかと思うんですよね。憎しみって一旦根付くと離れないし、それに頼って生きていったりもするので手放すのも怖くなってしまう。それで、人を憎んでいるときの心の中の黒いものと、自分が同質のものになっていくんじゃないかと思うのも怖いんですよね。今回の作品も、作っていて、自分の黒いものが出ちゃっているんじゃないかと思って本当に怖かったです」と返した。

すると尾崎は「橋口さんは信用できる気がするんです。僕は虫歯になったことのない医者より、虫歯がある医者に見てもらいたいタイプ(笑)。痛みをちゃんと知ってる人は、自分を分かってくれるんじゃないかと思うんです」とにっこり。「お会いできるのを楽しみにしていた」と話した橋口監督も「お会いする前から(尾崎さんは)嘘のない人だなと思って、ミュージッククリップを観ていました。クリップで観ていたせいで、今日初めて会ったのに友達感覚ですみません(笑)」と和気あいあいとした会話を繰り広げ、会場から笑いを誘っていた。【取材・文/平井あゆみ】

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