第73回ゴールデン・グローブ賞ノミネーション発表！今回一番の驚きは？
本格的な映画界の賞レースシーズンが到来し、各賞のノミネーションや受賞結果が続々と発表される中、第73回ゴールデン・グローブ賞(以下GG賞)のノミネート結果が、ロサンゼルスの10日午前5時(日本時間の同日22時)に発表された。
トッド・ヘインズ監督作『キャロル』が最多の4部門5ノミネートされたのを筆頭に、アダム・マッケイ監督作『マネー・ショート 華麗なる大逆転』、ダニー・ボイル監督作『スティーブ・ジョブズ』、そして昨年『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』でオスカーを受賞したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作で、音楽を担当した坂本龍一が3度目となる音楽賞にノミネートされる快挙を成し遂げた『レヴェナント：蘇えりし者』が各4ノミネートで後を追う結果となった。
同賞は、100人以上の外国人ジャーナリストやフォトグラファーからなる外国人記者クラブという各国のジャーナリストが選ぶとあって、過去の実績から見ても、他の賞に比べて大作及びスター志向が強く、アカデミー賞とは少々趣向が異なるチョイスになる。また、「個人的なファンや好みの俳優が選ばれている」などと言われたこともあり、サプライズは毎年のこと。しかし、前日に発表された全米俳優組合賞のノミネート結果でも大きなサプライズがあったように、今回は例年になくサプライズだらけの結果となった。
E!オンライン、CBSニュース、シカゴ・トリビューン紙、ピープル誌、moviefone.comなど15媒体以上の意見を基に、ノミネート結果についてまとめてみた。
作品賞はアカデミー賞でも10作品が候補に選ばれるが、GG賞では前述したような大作志向ゆえに、アカデミー賞とはだぶらないことも多い。しかし、大作＆大スターを好む傾向にある同賞で、ジョニー・デップ主演の『ブラック・スキャンダル』が、主演男優賞だけではなく、作品賞にも選ばれていないことを、今回一番の驚きとして挙げているメディアが多い。
過去10回GG賞へのノミネーション経験を持つジョニーは、『アリス・イン・ワンダーランド』(10)と、他の賞では全く演技力が評価されていなかった『ツーリスト』(10)で主演男優賞にダブルノミネートされた過去がある。それにも関わらず、オスカー有力候補だったはずの『ブラック・スキャンダル』のジョニーの名が外れたからだ。
GG賞の主演男優賞はコメディ・ミュージカル部門とドラマ部門があるため、狭き門となるオスカーの5人に比べて2倍の10人が選ばれる。更には、毎年ドラマ部門に選ばれた俳優が、より多くオスカー候補の5人の中に生き残り、そして受賞するケースが多い。言い換えれば、過去の実績から見ても、GG賞にノミネートされなかった人物がオスカーにノミネートされる確率はほとんど皆無となっている。
今回ジョニーが落選した背景には、若妻アンバー・ハードと交際・結婚した頃から乱れ始めたと言われる私生活や、容姿の衰えなども関係しているのではないかとまで言われているが、厳格なアカデミー賞会員たちの目にはどう映るのか。GG賞がこれまでのありのままのカッコいいジョニーを好むとしたら、オスカー会員が好むとされる、体重を増やしハゲ頭で実在のギャングを演じたジョニーの“役者魂”が買われてオスカーで返り咲くのか。
また、今回の一件で、もともと主演男優賞の最有力候補と言われていた『レヴェナント：蘇えりし者』のレオナルド・ディカプリオが“5度目の正直”でオスカーに輝く可能性がますます濃厚になってきたとまで言われている。今後の展開がますます楽しみになってきた。(続く)【NY在住/JUNKO】
