木村文乃、女優業のモットーは「子どもでいよう」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
木村文乃、女優業のモットーは「子どもでいよう」

インタビュー

木村文乃、女優業のモットーは「子どもでいよう」

移ろいゆく季節の中、懸命に生きる動物たちを捉えたネイチャー・ドキュメンタリー『シーズンズ 2万年の地球旅行』(1月15日公開)。日本語版ナレーションを担当するのは、笑福亭鶴瓶と木村文乃。親しみある語り口の鶴瓶と、自然体ながら凛とした光を放つ木村の声が、動物たちの生き様に寄り添う。そこで木村を直撃し、ありのままの動物たちから感じた刺激。そして、その動物たちの姿にも繋がる「女優業のモットー」を聞いた。

本作は、『オーシャンズ』のジャック・ペラン&ジャック・クルーゾ監督が2万年にわたる人類と自然の歩みを描く壮大なネイチャー・ドキュメンタリー。ナレーションに挑む上では「映像を中心に観てほしいから、なるべく癖がないように、水のようにスッと入ってくるような喋り方がいいと思った」そうだが、「つい自分の癖や波で話してしまって。イントネーションがおかしくなってしまったり、何回も言っているうちに何が正しいのかわからなくなってしまって」と苦労もあった様子。

木村にとって映画のナレーションは初めてのチャレンジ。来日したジャック・クルーゾ監督が、その不安を取り除いてくれたそう。「一緒にナレーションをやる(笑福亭)鶴瓶さんと、『僕らで大丈夫ですかね?』というお話をさせていただいたら、監督が『こうして話をしてみて、お二人にはそのままやってもらえれば大丈夫だと思いました』と言ってくださって。そうやって監督が信じてくれていれば、私も自分を信じてやることができると思ったんです」

驚くほどの近距離で、生き生きとした動物の姿が映し出されている本作。木村は「出てくる動物たちがすべて愛おしい。動物たちが何も無理をさせられていなくて、生と死が隣り合わせではあるけれど、生きている姿がありのままに映し出されていた」と完成作にうっとり。「撮る側が動物たちを愛おしいと思っていないと、そういう姿を捉えるのは難しい。監督と会って話をしてみて、動物たちの気持ちがわかったような気がして(笑)。監督が動物たちを信じているから、動物たちはありのままの姿を見せてくれているんだと思います」

そんなありのままの動物たちの姿は、木村の女優業へのモットーにもつながるものだ。「仕事が忙しくなってきて、それでも自分の芝居が変えられないと悩んだときがあって。私は結論として、『大人になるのをやめよう』と思ったんです。変に聞き分けよくやってしまうと、10人中9人がやるお芝居にしかならない。それでは全然、次へのステップに繋がらないから、10人中、全員がやらないような自分だけの発想を出さなきゃダメだと思ったときに、良い意味で『子どもでいよう』と思いました。子どもも動物もとても純粋で、物事に対してまっすぐで、自分の思ったことをそのまま表現する。結果的に、それが作品の力になればいい。私もその気持ちをいつまでもなくしちゃダメだと思ったんです」

自宅では猫を2匹飼っているそうだが、「彼らもとても自由で、私も人間のルールをなるべく押し付けないようにしていて。その飾っていない姿が一番かわいいし、『ああ、生きているな』と思うんです」とにっこり。穏やかな笑顔の中に、「まっすぐであろう」とする女優業への強い意志がキラリと光る。真摯な瞳で見つめるその先に何が待っているのか。ますます新たな表情を見せてくれそうで、楽しみだ。【取材・文/成田おり枝】

スタイリング/藤井享子 ヘアメイク/野中真紀子

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