英国オタク俳優サイモン・ペッグがハリウッドで活躍できるワケは!?|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
英国オタク俳優サイモン・ペッグがハリウッドで活躍できるワケは!?

インタビュー

英国オタク俳優サイモン・ペッグがハリウッドで活躍できるワケは!?

地元イギリスの小規模な作品で注目を集めると、『ミッション・インポッシブル』などの大作シリーズに立て続けに出演し、一躍ハリウッドスターとなった俳優サイモン・ペッグ。先日、『スター・トレック BEYOND』(10月21日公開)のPRで来日したペッグへのインタビューが実現!その言葉から、彼がハリウッドで必要とされる理由が見えてきた。

サイモン・ペッグはオタクの心をなくしてしまったのか、直撃!
サイモン・ペッグはオタクの心をなくしてしまったのか、直撃!

「僕はポップカルチャーが大好きだし、それが僕って人間なんだ」。ペッグといえば、脚本・主演を務めた『宇宙人ポール』(11)で『スター・トレック』はじめさまざまなSF作品のオマージュを盛り込みまくるなど、その素顔はオタクとして知られ、コアなファンからの信頼も厚い。

「あなたはまだオタクですか?」。

こちらの不躾な問いかけに「もちろん!僕の心には今でもオタクのマインドは残っているよ(笑)」と会心の笑顔。ハリウッドに活躍の場を移した今でも、そのマインドをブレずに持ち続けているのだ。

今回の『スター・トレック BEYOND』でペッグは、演技に加えて脚本も担当している。「スタジオを歩いていると、僕が脚本に書いた宇宙船が、実際に組み立てられて目の前にあるんだよ!『あっ、僕の書いた船だ!』って大興奮で、もうどうにかなってしまいそうだったよ(笑)」。ペッグにとってオタク冥利につきる作品になった様子。

新キャラクターのジェイラとバディを組むスコッティ
新キャラクターのジェイラとバディを組むスコッティ[c]2016 Paramount Pictures. All Rights Reserved. STAR TREK and all related marks and logos are trademarks of CBS Studios, Inc.

とはいえ、脚本家として早い段階から企画に参加しているがゆえに、オタクな面は極力コントロールしていたと彼は語る。「自分の気持ちを出しすぎると、オマージュしているだけ、ただの“ファン映画”になってしまうから、客観的であるべきだと思ったんだ。脚本に取り組む時は、なるべく個人的な思い入れが出ないように制御していた…これが難しいことだったね(笑)」。

自分を抑えながら書いたという脚本だが、ペッグの個性が随所に取り入れられている。今作で、エンタープライズ号のクルーたちは2人1組でバディを組んでの冒険を余儀なくされるが、この組み合わせにも、ペッグのこだわりがあるようで…。

「最初に思い浮かんだ組み合わせが、スポックとボーンズだったんだ。いつもカークと一緒にいて、反応し合っている彼らから、カークを取り払ったらどういう反応をするのか。スポックは理論的でボーンズは感情的。真逆の2人だからこそ、お互いに好意を抱いていくプロセスがとても面白いと思ってね。それから、一番若いチェコフと、船長という立場が一番上のカークが組んだら…という風に、ほかの組み合わせも考えていったんだ」。

脚本家になることで、多くのプレッシャーがあったという
脚本家になることで、多くのプレッシャーがあったという[c]2016 Paramount Pictures. All Rights Reserved. STAR TREK and all related marks and logos are trademarks of CBS Studios, Inc.

ペッグと共同で脚本を務めたダグ・ユングが、ペッグのイギリスの自宅に泊まったりと、2人で楽しみながら進められたという脚本作り。ペッグによれば楽しさと不安が同居していたという。「脚本家になることで、自分が属していた“キャスト”というグループから外れて、製作側に回ることになるのかなって思ったんだ。それとやっぱり、『スター・トレック』シリーズが50周年ということにも、とてつもないプレッシャーを感じたよ」。

「でも蓋を開けてみたら、僕はキャスト代表という形で、俳優たちがわからないことがあれば、僕に質問をしてきてくれた。撮影中は脚本を書きながら演技もするという、とにかくハードな経験だったけど、結果としてはこの作品に誇りに思っているよ」。そう語るペッグの表情にはオタクとしての自己満足以上に、映画人としての達成感が滲んでいた。

【写真を見る】偶然撮れたオタク俳優サイモン・ペッグの会心の笑顔!
【写真を見る】偶然撮れたオタク俳優サイモン・ペッグの会心の笑顔!

ペッグは自身を「まるでスポックのようだった。脚本家として理論的に、自分の中のスポックが僕の人間的なオタクの部分を抑えていたんだ(笑)」と分析する。オタク=ファンとしての目線をブレずに持ち続け、状況に合わせて自分をコントロールできる彼だからこそ、今のハリウッドでの活躍があるのかもしれない。【取材・文/トライワークス】

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