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名脚本家は名監督になれるのか!? アリアガ監督インタビュー

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名脚本家は名監督になれるのか!? アリアガ監督インタビュー

『バベル』(06)や『21グラム』(03)の人気脚本家・ギジェルモ・アリアガ。彼が初めて監督を務め、シャーリーズ・セロンとキム・ベイシンガーというオスカー女優2人が共演した『あの日、欲望の大地で』が9月26日に公開にされるにあたり、彼に本作についてインタビューした。

アリアガ監督は、名匠アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の過去3作に携わっているが、それはあくまで脚本家としてだ。元々は小説家から出発していて、他の職業監督とは一線を画している。その出自も含め、彼が自信を持っている点は何なのだろうか?

監督は落ち着いたトーンで、「文学から始まったということで、私は常にストーリーテラー、物語を語る人間だと思っています。たくさんの監督が、カメラの前に立っているのが人間だということを忘れがちです。(今回撮影しているとき)あまりにも映像美に寄りすぎるときは、それをやめようと指示を出しました。自分は常に“人間”というものを大事にして撮れる監督だと思っています」と自身のスタンスを話してくれた。

監督として大事なのは、「作家であるということで、現場でも一言でみんながわかってくれる“コミュニケーションがとれる”ということです。それが自分の強みです」と話す。映画は映像だけではないということを意識した発言だ。

気になるのは、脚本家という職業は、現場の経験なく“監督”という仕事をやれるものなのか?ということ。「今までまったく撮ったことはなく、技術はありません。それを補って余りあるものが見つかれば、できると思いました。技術的なことはまったく障害にならない。なぜなら、周りに素晴らしいプロがいて、教えてくれるから」と、“初監督”を恐れていない様子。それはおそらく、今まで培ってきた功績が言わせる自負の裏返しなのだろう。

「9歳の頃からずっとやりたかった」と言う“監督”という仕事。そのチャンスをものにした彼は、素晴らしい条件・環境で、初監督らしからぬ手腕を見せている。それは、優れた脚本とその作者が持つ確固たるビジョンがなせる業。本作は、脚本を担当した過去の作品からも推察できるとおり、素晴らしく巧妙な、そしてゾクゾクするクライマックスが待っている。【Movie Walker/堀田正幸】

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