ヴァージニア・マッケナ
Joy Adamson
ジョイ・アダムソンの原作をジェラルド・L・C・コプリーが脚色、TVドキュメントで活躍するジェームズ・ヒルが監督した猛獣と人間のつながりを見せるドラマ。撮影はケネス・タルボット、音楽はジョン・バリーが担当した。出演は「ボワニー分岐点」のビル・トラヴァース、「マレー死の行進 アリスのような町」のヴァージニア・マッケナがアダムソン夫妻を演じている。二人はほんとの夫婦でもある。撮影はすべてケニア・ロケ。
ジョーイ(ヴァージニア・マッケナ)はケニヤの北高原の監視官ジョージの妻で、ある日三匹の牝ライオンの子を拾い、育てることにした。その中でいちばん小さいエルザをとくに可愛がった。地方行政官の忠告のように、大きくなったときの野生の恐ろしさを思わないでもなかったが、ジョージが病気のときは枕元で一晩中見張りをすることもあった。ある夜、象の大群が集まったとき、エルザは一目散に逃げ出し、作物をひどく荒らした。行政官もこれが最後だといった。大きくなりすぎ、野生もあらわれてきた。ジョーイは考えた末、エルザを自由にしてやることに決めた。だが雄ライオンの傍に置いてみると、慌てて車の方に飛んで帰って来た。他の動物を殺すことを教えようとすると、カモシカと遊ぶような始末。一週間野に放してみたが、結局餓死寸前のところを発見された。こうなると、動物園に送らざるを得ない。だが……繁殖期に入ったある日、エルザを遠くへ運んだ。雄を争い牝ライオンと激しい取っ組み合いをやりエルザが勝った。本当の野生にかえったのだ。ジョーイは嬉しいと同時に、もうエルザには会えないのでは、と淋しかった。一年間が経って、二人はエルザを残したところへ来てみたが、一週間過ぎてもエルザは現れなかった。帰ろうとしたとき、遥か彼方からエルザがやってきた。三匹の子孫を従えて。子供まで連れてくるとは。エルザはジョーイの側に人間が抱擁するような形で足を置くと、懐しそうに体をこすりつけたり、手をなめたりしていた。エルザの子供たちもまわりに集まった。近くでライオンの吼える声が聞えた。エルザの旦那だろう。短いめぐり合いだが、エルザもこれからは本来の野生に戻るだろう。
監督
原作
製作
製作
製作総指揮
撮影
音楽
脚色
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