ピーター・ローレ
Der Morder
「月世界の女」「スピオーネ」と同じく脚色テア・フォン・ハルボウ、監督フリッツ・ランクによって作られた映画で、デュッセルドルフに起こりし実話を基にして撮影台本が執筆されたものである。主なる出演者はペーター・ローレ、エレン・ヴィドマン、インゲ・ランドグート、グスタフ・グリュントゲンス、フリードリッヒ・グナス、フリッツ・オデマー、テオドル。ロース、オットー・ヴェルニッケ、ゲオルク・ヨーン、ローザ・ヴァレッティ、ヘルタ・フォン・ヴァルターの面々。キャメラは「三文オペラ(1931)」「西部戦線一九一八年」のフリッツ・アルノ・ワグナーが担任である。
ドイツのある町では最近頻繁する殺人事件に、興奮と恐怖と、憤怒の渦が巻き上げられつつあった。可愛らしい小学校の女生徒が惨たらしく惨殺されるのだ。一つの事件が解決されないうちに新しい同様の惨劇が次々と行われて行った。通り魔のような殺人犯人で、しかもその誰であるかを何人も知ってはいない。人々がよると触るとその事件を論じ合った。子ども達が行き交う小学校への途上に犯人逮捕に懸けられた10000マルクの懸賞逮捕ポスターが貼り出される。人の子の母親達は子どもの顔を見ることが戦慄すべき犯行の前兆のようにも思えるのだ。しかし騒ぎはこの市内の興奮だけのものではなかった。その治安を司る警察署は非難と讒謗の矢面に立ちながら焦燥の坩堝と化している。日々に拡大される捜査範囲、夜を日に次いでの捜査会議、次々と検挙される容疑者の数々。しかも本当の犯人は冷然と俺は無事だと新聞社に投書する。暗黒街は幾度となく検束だ。浮浪者、犯罪者、醜務婦等が一団となって網に引っかかる。そして身分証明書の点検である。恐怖はしかしここばかりではない。全く異なった他の団体、スリとかっぱらいの一団も今は恐るべきカタストロフに怯えだした。警察の検挙が日増しに激しくなるからである。ある日町の風船売りの盲目の老人が、聞き覚えのある口笛の曲を聞いた。そうだ、その曲こそすぐる日彼から風船を買っていった子ども連れの客が吹いていたペールギュントの「山の王の殿堂にて」だ。しかもその時の子どもは殺されている。老人は通りがかりの青年にこれを告げる。青年はすぐスリの一団と連絡を取りながら後を付けた。その男は子どもを連れている。しかも玩具を、お菓子を、色々なものを買い与えている。青年は咄嗟に掌にMの字をチョークで書いて、男を追い抜きざまにとんとその肩をついた。その男の肩にはMの字が、Murderの印が付けられた。スリの一団はあちら側からも、こちらからも町の八方から男を取り巻いた。気がついた男は頻りに逃げたがあるビルディングで消えた。その夜一団はこのビルディングを襲うのだった。その男を俺達の手に捕らえろと言うのである。大がかりのビルディング襲撃が行われる。が、守衛の一人が急を警察に報じたために一団は蒼々とここを逃れた。が殺人犯は一団に発見されて彼等の私刑法廷に立たせられる。私刑法廷--廃屋倉庫の地下室だ。遂に彼等は彼等の信条によって犯人を処罰しようと犯人めがけて飛びかかる。この時である。本当の法律の手がここに伸びた。一同の立ちすくむ中に厳かな声が響きわたるのだった。かくて数カ月間さしもの町を震撼せしめた凶悪な犯人も司直の手に引かれていったのである。
Der Morder
Dle Mutter
Das Kind
Der Shranker
Der Einbrecher
Der Falschspieier
Der Taschendieb
Der Bauernfaenger
Der Polizeiprasident
Der Minister
Kriminal Kommissar Lohmann
Kriminal Kommissar Groeber
Der Blinde Bettler
Der Verteidiger
Der Wachter
Ein Kriminalbeamter
Dle Kaschemmenvirtin
Eine Dirne
監督、脚本
脚本
撮影
撮影助手
音楽
美術
美術
編集
録音
製作主任
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