前田吟
藤波泰男
看護婦を妻にもつ亭主と子供たちの生活をコミカルに描くことで、看護婦という仕事が家族の犠牲の上に成立っていることを訴える。藤田健次の原作「看護婦のオヤジがんばる」と「看護婦のオヤジ泣いて笑って」を合せて映画化したもので、脚本は関功、監督は「二つのハーモニカ」の神山征二郎、撮影も同作の南文憲がそれぞれ担当。
藤波泰男は職安に勤務、妻の啓子は看護婦である。絵の道に進みたかった泰男は、仕事が終ると家で版画を彫ったりしている。しかし、今となっては「お互い理解しあえばうまくいく。好きな絵も描かせてあげるわよ」という啓子の結婚のときの言葉がうらめしい。新婚初日が夜勤、長女を産んだときは過労で倒れてしまった。それから十年、子供の面倒、家事一切が泰男の分担だ。ある日、次女が熱をだし「母ちゃん」とウワゴトを言うが、啓子はその晩も夜勤。自分の子供も看病できないで何が看護婦だ。泰男は頭をかかえる。数日後、啓子が倒れこむように帰宅した。彼女の献身的看護にもかかわらず患者が死んだのだ。患者の生命が看護婦のいのちをすりへらしているのだ。啓子の悩みは、後輩の多くの仲間が結婚を機に看護婦を辞めていくことだ。友人の直美も婚約者の希望で仕事から去ろうとしている。この仕事はの家族協力、犠牲なくしては成立たないのか。遂に過労がたたり、啓子は倒れた。しかし、彼女は仕事を辞めろという泰男の説得に応じようとしない。泰男は意決してその思いを新聞に投書した。「十分な労働条件と休息がなぜないのか、看護婦のオヤジたちよ、あなたは辛くはないですか。このままでは私たちの家族は完全に破壊される。政府は、厚生省は、わたしたちをどうしようとしているのですか……」翌日、病院ではその投書の話でもちきり。そして泰男の家は激励の電話が鳴りっぱなし。そして、啓子や仲間の看護婦と亭主の集いが開かれることになった。泰男をはじめ集まった彼らの顔は、この輪を全国に拡げようと希望に輝いている。
藤波泰男
藤波啓子
藤波淳
藤波幸
横田直美
曽根明
住職
駐在
坂本節子
大友久子
石塚英次郎
高村実
飯野篤
医者
中年男
小峰和広
小峰新吾
看護婦A
看護婦B
患者A
患者B
患者の老人
通行人A
警官
病院の受付嬢
小峰政吉
病院の青年
佐伯春江
監督
脚本
原作
製作
製作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
助監督
企画
スチール
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