頭師佳孝
六ちゃん
黒澤明五年ぶりの作品そして初めてのカラー映画とさまざまな話題を集めた、四騎の会製作の第一回作品である。脚本は「影の車」の橋本忍、「待ち伏せ」の小国英雄が共同執筆。監督は脚本にも参加している「赤ひげ」の黒澤明。撮影は「弾痕」の斎藤孝雄と「二人の恋人」の福沢康道が担当。1971年1月21日全国公開。
電車馬鹿と呼ばれている六ちゃんは、てんぷら屋をやっている母のおくにさんと二人暮しである。六ちゃんの部屋には、自分で書いた電車の絵がいたるところに貼りつけてあった。彼は毎日「どですかでん、どですかでん」と架空の電車を運転して街を一周する。それが彼の仕事なのである。六ちゃんを始めとする、この街の住人たちは一風変った人たちばかりだった。日雇作業員の増田夫婦と河口夫婦がいる。二人の夫はいつも連れ立って仕事に出、酔っぱらっては帰ってくる。二人の妻も仲がよかった。ある日酔って帰ってきた二人はそれぞれの家を取り違えて住みつき、やがてそれが飽きると、もとの家に帰っていった。島悠吉はユニークな人物だ。彼の片足はもう一方の足より短かく、その上猛烈な顔面神経痙攣症の持病があった。彼のワイフはドラムカンのような図太い神経と身体の持ち主で、島さんのところにお客が来ても、接待はおろか、逆に皮肉をいうような女だった。かつ子という不幸な娘がいて、彼女は昼ひなかから酒をくらっている伯父の京太のために一日中つらい内職をしなければならなかった。伯母の入院中、彼女は伯父の欲望の対象となり、妊娠してしまう。そして彼女は突然何の関係もなく自分に好意をよせている酒屋の小僧、岡部少年を出刃包丁で刺してしまう。その他にも、この街には廃車になったシトロエンのボディに住みつく乞食の親子や、平さんという哀しい過去を背負った、中年の男、異常に浮気な女を女房に持つヘアー・ブラシ職人の沢上良太郎親子らが住んでいた。これらの貧しい人たちの生活や感情を交錯させながら今日も一日が暮れていこうとしていた。
六ちゃん
おくにさん
絵描き
島悠吉
ワイフ
井河
野本
松井
増田益夫
増田たつ
河口初太郎
河口良江
屋台のおやじ
沢上良太郎
沢上みさお
沢上太郎
沢上次郎
沢上花子
沢上四郎
沢上梅子
綿中京太
綿中おたね
綿中かつ子
岡部少年
警官
父親
子供
寿司屋のおやじ
おかみ
レストランの主人
ウエイトレス
平さん
お蝶
たんばさん
老人
惣さん
くまん蜂の吉
女房
小供
小供
泥棒
渋皮のむけた女
内儀さん
内儀さん
内儀さん
内儀さん
声をかける男
声をかける男
声をかける男
声をかける男
声をかける男
監督、脚本、製作、企画
脚本
脚本
原作
製作
撮影
撮影
音楽
美術
美術
編集
衣裳
照明
録音
音響効果
助監督
製作担当者
企画
企画
企画
撮影助手
小道具
スチル
記録