三國連太郎
武士
小泉八雲の“怪談”より和解(黒髪)、雪女、耳無抱一、茶碗の中の話、を「甘い汗」の水木洋子が脚色「切腹」の小林正樹が監督した文芸もの。撮影もコンビの宮島義男。第38回キネマ旬報ベスト・テン第2位、第18回カンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞。1965年1月6日よりロードショー。1965年2月27日より全国公開。カンヌ出品版として161分の短縮版が存在する。
〔黒髪〕昔京都で生活に苦しんでいた武士が、貧乏に疲れ、仕官の道を捨てきれずに、妻を捨てて、遠い任地へ向った。第二の妻は、家柄、財産に恵まれていたが、我侭で冷酷な女であった。男は今更のように別れた妻を慕い、愛情の価値を知った。ある晩秋の夜、荒溌するわが家に帰った男は、針仕事をする静かな妻の姿を見て、今迄の自分をわび、妻をいたわり、一夜を共にした。夜が白白と明け男が眼をさますと、傍に寝ていた妻は髪は乱れ、頬はくぼみ、無惨な形相の経かたびらに包まれた屍であった。 〔雪女〕武蔵国の若い樵夫巳之吉は、茂作老人と森へ薪をとりに入り、吹雪に出会って、山小屋に閉じこめられた。その夜、若者は、老人が雪女に白い息を吹きかけられて殺されたのを目撃したが、巳之吉は「誰にも今夜のことを話さないように。話したら必ず殺す」と言われ助けられた。三十近くなった巳之吉は、森の帰路出会った、美しい娘お雪を妻に迎え、子供も出来て、仕合せな日々を過していた。正月も真近にひかえたある夜、子供の晴着に針を運ぶお雪の顔をみて、山小屋の雪女を思い出した巳之吉は、妻に思わずその話しを聞かせた。お雪は「それは私です」と言うと、うらみを残して吹雪の中に消えていった。 〔耳無抱一の話〕西海の波に沈んだ平家一門の供養のために建てられた赤間ケ原に、抱一という琵琶の名人がいた。夜になると、寺を抜け出し、朝ぐったりして帰って来る抱一を、不審に思った同輩が、秘に後をつけると抱一は、平家一門の墓前で恍惚として平家物語を弾じていた。平家の怨霊にとりつかれた抱一は、高貴な人の邸で琵琶を弾じていると思っていたのだ。寺の住職は、抱一の生命を心配すると、抱一の身体中に経文を書き、怨霊が迎えに来ても声を出さないよう告げた。住職の留守に迎えに来た怨霊の武士は、返事がないまま、抱一の琵琶と耳を切って持ち帰った。住職が耳に経文を書くのを忘れたのだ。以後抱一は耳無抱一と呼ばれ、その名声は遠く聞こえた。 〔茶碗の中〕中川佐渡守の家臣関内は、年始廻りの途中茶店で、出された茶碗の中に、若い男の不気味な笑い顔を見た。それは、茶碗を何度とりかえても、同じように現われた。豪胆な関内は、一気に飲みほして帰ったものの、不思議に思った。佐渡守の邸に帰った関内を、見知らぬ若い侍が訪ねて来た。その顔は、茶碗の底の不気味な顔であった。問答の末、関内は男を斬ったが、男は音もなく消えた。帰宅した関内は、三人の侍の来訪を受けた。今日の若い侍の家臣と称する三人は、来月十六日に主君が今日の恨みを晴らしに来ると告げると、関内の刀をかわして、影のように消えた。
武士
妻
第二の妻
雪女
巳之吉
母
耳無抱一
住職
甲冑の武士
上ろう
武士関内
老爺
おかみさん
出版元
式部平内
作者及びその声
監督
原作
製作
撮影
音楽音響
背景
美術
編集
衣裳
美粧
結髪
照明
録音
装飾
音楽音響
音楽音響
音楽音響
助監督
製作主任
スチル
脚色
記録
題字
タイトルデザイン
製作協力