江原真二郎
早川貫太郎
十二年前、広島に投下された原爆のため、病に冒され、死んで行った少女の純愛を通して非情な現実社会にメスを入れた問題作。「あらくれ(1957)」の水木洋子が原作を書き自ら脚色、「米」の今井正が監督した。撮影は「米」で今井正と組んだ中尾駿一郎。主演は「船頭姉妹」の江原真二郎と「抜打ち浪人」の中原ひとみ。そのほか「血まみれの決闘」の岡田英次、「殺人者を逃すな」の木村功、さらに東野英治郎、宮口精二、加藤嘉、藤里まゆみ、岸輝子など。色彩はイーストマン東映カラー。
戦すんで十年、平和が訪れたとはいえ、ここ上野の山には今なお不幸な孤児たちが虚しい日日を過している。今しも、スリ仲間から足を洗おうとする孤児のミツ子を不良たちがリンチを加えようとしていた。その中の一人、貫太郎は、余りの残酷さを見てミツ子をかばいその難を救った。二人は孤児という共通の境遇から仄な慕情を感じ合い、更生を誓うが社会の風は厳しかった。遂に二人は悪いとは知りながらデパートでスリを始めた。が、忽ち刑事に捕り、ミツ子は聖愛学園へ、貫太郎は少年院へ送られた。貫太郎は一度は脱出したが再び捕り、それ以後は少年院の下山教官の補導で更生の道に励むようになった。一方ミツ子は優しく気を配ってくれる小島教官にさえ反抗するような荒んだ気持になっていたが、間もなく顔が蒼白となり油汗がにじむという異常な病気に冒され始めた。その病状は彼女が十年前、広島でうけた原爆症にほかならなかった。が、それとは知らぬミツ子は学園から逃走、放浪生活に入った。その頃、貴太郎は仮退院を許され近くの工場に務めていた。彼はソバ屋の出前持ちになっているミツ子を探し出し、明るく励ました。体に斑点ができるまでに病状の悪化していたミツ子も貫太郎の励ましで遂に病院を訪ねた。そこでミツ子は貧血症と診断を下され、金もないままにドヤ街へ身を移した。貫太郎は、そんなミツ子を励まそうと一日、ピクニックへと連れ出すが、それ以後ミツ子は病床に伏したままの身となった。衰弱し切った彼女を小島教官が探しだし病院に収容した時は死の寸前にあった。瀕死のミツ子の願いで貫太郎が駈けつけたが、病室にはもはや虚なベッドが残っているのみ。ミツ子が純愛こめて風邪気味の彼に作ってくれたマスクをはめた貫太郎は、流れ出る涙も拭わず夕暮の雑踏の中へと姿を消した。
早川貫太郎
宮内ミツ子
小島女子教官
下山観察官
ハートの円
市ちゃん
里やん
デンスケ
五郎
田中
田中の母
田中の妹
杉
自治寮少年A
自治寮少年B
自治寮少年C
自治寮少年D
自治寮少年E
自治寮少年F
自治寮少年G
ヨリ子
お高
お兼
時子
君江
聖愛女子学園少女A
聖愛女子学園少女B
聖愛女子学園少女C
聖愛女子学園少女D
聖愛女子学園少女E
カラフト食堂の主
屑屋の爺さん
ドヤのかみさん
中華そばやの主人
隣のかみさん
家庭少年裁判部判事
家庭少年裁判部書記
園長
国立女子教官
板谷教官
鈴木教官
医務課長
少年院体育教官
少年院音楽教官
少年院電気教官
少年院農芸教官
少年院自動車教官
少年院庶務課員
自誠会指導主任
自誠会補導員
自誠会嘉一
自誠会A
自誠会B
自誠会C
自誠会守衛
瀬川病院の医師
瀬川病院の助手
瀬川病院の看護婦
病院の医師
病院の医師
病院の医師
病院の医師
病院の医師
病院の看護婦
刑事A
刑事B
刑事C
浮浪者幼女
浮浪者母親
デパートの客(中年)
デパートの客マダム
万引女
女店員
中年男
中年妾
パンスケ