小林桂樹
山下清
山下清が自ら放浪の半生を綴った『放浪日記』から「純愛物語」の水木洋子が脚本を書き、「女殺し油地獄(1957)」の堀川弘通が監督した喜劇。撮影は「旅姿鼠小僧」の中井朝一。「風流温泉日記」の小林桂樹が山下清に扮するほか、加東大介・三益愛子・団令子・青山京子・有島一郎・市村俊幸・中田康子・横山道代などが助演する。パースペクタ立体音響。昭和33年度芸術祭参加作品。
--清は生れつき頭が悪いので、八幡学園という特別の学校に入った。小さいときから、ひとりぼっちで花をみたり虫と遊んだりするのが好きだったので、花や虫の絵と貼絵を夢中でやった。清は兵隊検査が近づく頃になると、突然、学園から姿を消した。戦争に行って死んでしまうのが怖かったから。ツンツルテンのゆかたに大きなリュックを背負って、汽車の線路を伝って歩き廻り、夜は駅に泊った。--清は親切な汲取屋のおばさんの世話で、阿武田駅の弁当屋で使ってもらうことになった。初め、清はハエを取る仕事をした。ハエは取っても取っても飛んでくるので、次には弁当を重ねて運ぶ仕事をした。弁当は途中でひっくり返るので、ホームで駅弁を売る仕事をした。走って忙しくてお金を貰うのを忘れて、これも駄目でした。--つまり、清は要領が悪いので、ジャガイモの皮むきや鼠のクソ取りに廻された。--戦争は太平洋戦争になったので、弁当屋のよっちゃんたちも皆、兵隊に行ってしまった。清は、それが怖くて腹を出して寝たり、絶食をしたりして病気になろうとしたが、駄目なのです。--清は二十歳の年の暮れに弁当屋を逃げだした。来年は兵隊検査をしなければならないので、歳を知っている弁当屋の他へ行って働いて、年を二十二歳にとばすと兵隊検査はしなくていいと思ったから。割烹「魚吉」で雇ってくれた。警防団の訓練や人の嫌がる仕事はみんな清の役目なので、つらい仕事ばかりでへたへたになっていると、お母さんが兵隊検査の通知が来たと迎えに来た。--区役所で、清は検査官の前で、「生れつき頭が悪いので、ものを覚えてもすぐ忘れてしまうので……」というと、最後に、「山下清不合格!」といわれた。フゴウカクとはどういう意味ですか。--清は家に帰っても食べるものがないので、また旅に出た。駅の待合室で、赤い傘をさして、褌一つで踊っていると、褌が落ちて、巡査に捕った。「一番大事なものを人に見せるのは気が狂っているのだ」といわれて、気違い病院に送られてしまった。飯が出ないで汁だけなので、風呂へ入ったとき丸裸のまま逃げだした。そのとき、戦争が終った。--清は横浜で乞食をした。「魚吉」へ来た大佐や上等兵は闇屋をやっていた。家へ帰ると家族は共同便所に住んでいた。--清は八幡学園へ戻り、昔通り貼絵を始めた。春になったので、清はまた放浪の旅へ出た。--草津や伊香保で、ただの露天風呂に入って廻った。東京で清の絵の展覧会があったので“日本のゴッホ”などと騒がれるようになった。--清は花火を追って全国を歩いた。新聞社の人が来ていろいろ聞いたり、たくさんの人が絵を描いてくれなどと頼むので、清は気楽な裸でのんびり出来るところが好きなので、そっちへ向って歩きだしたのである。
山下清
清の母
清の弟てっちゃん
清の妹ヤエ子
山田巡査
金持ちの爺さん
中年の男
汲取屋のおばさん
女車掌
飯屋の主人
弁当屋の主人
弁当屋のおかみ
ながさん
りっちゃん
よっちゃん
野本さん
まっちゃん
おばさん
けえちゃん
おしめちゃん
ちよちゃん
五味巡査
魚吉の主人
魚吉のおかみさん
大佐
みね上等兵
中佐
爺さん
婆さん
老いた乞食
気違い婆さん
加藤正清
さね三さん
上杉さん
医者
露天風呂のよその人
町の人A
町の人B
駅弁売り
新聞記者
新聞記者
新聞記者
新聞記者
新聞記者
新聞記者
監督
脚本
原作
原作
製作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
助監督
製作担当者
スチール