所謂「布川事件」の犯人として、冤罪を訴えながらも長年服役していた二人の男性が仮釈放で29年ぶりに刑務所から出所。彼らが変わり果てた社会に戸惑い、やがて適応していく姿を、再審請求運動を軸に14年に渡って追い続けたドキュメンタリー。監督・制作・撮影・編集・ナレーションは、羽田澄子監督の「歌舞伎役者・片岡仁左衛門」「安心して老いるために」で監督協力・演出助手を担当した井手洋子。2010年10月9日、東京港勤労福祉会館にて有料試写会上映された。2010年度キネマ旬報文化映画ベスト・テン第1位。
ストーリー
1967年8月に茨城県で発生した強盗殺人事件、いわゆる「布川事件」の犯人として逮捕された二人の男性、桜井ショージと杉山タカオ。映画はショージとタカオが仮釈放で刑務所から出て来るところから始まる。ショージとタカオは20歳のときから29年間獄中にいた。「犯人じゃない!」獄中から、そして社会に戻って来てからも2人は無罪を訴え、裁判のやり直しを求め続ける。2人を偶然知ったディレクターの井手洋子は、自分のビデオカメラでその日常を記録し始める。券売機で電車の切符を買えないタカオ。廃屋同然になった我が家に呆然とするショージ。30年近く社会と隔絶していた2人にとって、時代の変化は大きかった…。ショージは背が低く、タカオは身長180センチの大男。ショージはおしゃべりがうまく、タカオは話ベタ。ショージは服装にこだわりがなく、タカオはお洒落さん。何かにつけて対照的な2人は同時にライバルであった。仕事を見つけたい、彼女が欲しい…普通のおじさんになるために2人はハードルを乗り越えていく。そして2010年夏再審公判が始まる。桜井ショージ63歳、職業:建設作業員。杉山タカオ64歳、職業:造園業。仮釈放された1996年秋から再審公判が始まった2010年夏までの14年間を2人のサイドから見つめた記録映画。
キャスト
スタッフ
監督、ナレーション、撮影、編集、制作
井手洋子
撮影協力
西尾清
撮影協力
藤江潔
撮影協力
岡田文彦
撮影協力
西島房宏
撮影協力
須藤恵司
撮影協力
相馬健司
音楽
寺島琢哉
編集協力
長島光男
編集協力
江口洋二
選曲
黒澤道雄
整音
久保田幸雄
MA
協映
制作協力
原田真志
制作協力
長谷川玲
制作協力
水野嘉女
制作協力