過激すぎ!?イギー・ポップ率いる“ザ・ストゥージズ”のロック伝説
“ゴッド・ファーザー・オブ・パンク”の異名を持つロック界のカリスマ、イギー・ポップ。御年70歳にしていまだ精力的に音楽活動を続ける彼が、20代のときに率いた伝説のバンドが「ザ・ストゥージズ」だ。イギーと親交の深いジム・ジャームッシュ監督による、バンドの歴史をひも解くドキュメンタリー映画『ギミー・デンジャー』(9月2日公開)がこの度日本に上陸する。
ストゥージズは、サイケデリック、フォーク、ハード・ロックなどが音楽シーンに新規台頭していた1967年に、そのどれにも属さないキワモノとして登場。原始的なリズムと荒々しいギター・サウンドから発せられる、攻撃的なエネルギー。そして、ボーカル、イギーの雄叫びをあげながら爆発する、ライブでの過激なパフォーマンス。ダイブや嘔吐は序の口、ピーナッツバターを体中に塗る、裸でガラスの破片の上を転げ回って(救急車で搬送される)などの奇行の数々で、唯一無二のスタイルを生み出した。
商業的には成功せず、メンバーの薬物中毒などの問題により結成7年で解散したストゥージズ。だが、その強烈な個性とサウンドはその後の音楽シーンに多大な影響を与え、パンク・ロックの先駆け的存在としてロック史に永遠の爪痕を残した。セックス・ピストルズ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ザ・ホワイト・ストライプスなど、多くのミュージシャンに理想的なアイコンとしてリスペクトされ続け、2003年に奇跡の再結成。2010年にはロックの殿堂入りを果たした。
映画では、イギーや他のメンバーへのインタビューや知られざる映像と写真の記録も登場。ジャームッシュ監督が洗練された切り口と愛ある遊び心で、「ザ・ストゥージズ」の孤高の魅力に迫る。イギーの野獣的なカリスマと味のあるコメントは痛快!熱い青春映画を観たあとのようなカタルシスを与えてくれる一作だ。【トライワークス】