【第97回アカデミー賞】長編アニメーション賞は『Flow』が受賞!ラトビアに初めてのオスカーをもたらすサプライズ
現地時間3月2日に第97回アカデミー賞の授賞式が行われ、ラトビアの新鋭ギンツ・ジルバロディス監督の最新作『Flow』(3月14日公開)が長編アニメーション賞に輝いた。
長編アニメーション賞と国際長編映画賞の2部門でノミネートされていた『Flow』は、世界が大洪水に包まれるなかで、一匹のネコが流れてきたボートに乗り合わせた動物たちと様々な危機を乗り越えながら冒険する姿を描いた物語。オープンソースソフトウェアの「Blender」を使用し、50人以下のスタッフと制作費350万ユーロ(約5.5億円)で作りあげられた一本だ。
昨年のアヌシー国際アニメーション映画祭では審査員賞と観客賞など4部門に輝き、前哨戦となる第82回ゴールデン・グローブ賞ではアニメーション映画賞を受賞。勢いそのままに、ディズニー&ピクサーの『インサイド・ヘッド2』(24)、ドリームワークス・アニメーションの『野生の島のロズ』(公開中)、アードマンとNetflixがタッグを組んだ『ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!』(Netflixにて配信中)といった強豪を抑え、見事にビッグサプライズを達成。
昨年の第96回では宮崎駿監督のスタジオジブリ作品『君たちはどう生きるか』(23)が受賞した長編アニメーション賞。第74回の際に創設されて以来、ディズニーやピクサーなどハリウッドメジャースタジオの作品が圧倒的な強さを誇る部門として知られており、ヨーロッパのインディペンデントアニメが受賞を果たすのは今回が初めて。
ジルバロディス監督は授賞式で「世界中のインディペンデントアニメーション映画製作者に扉を開いてくれることを願っています。ラトビアの映画がノミネートされたのは今回が初めて。私たちにとってとても大きな意味があり、またすぐに戻ってこられることを願っています。私たちはみんな同じ船に乗っており、違いを乗り越えて協力する方法を見つけなければなりません」とスピーチした。
圧巻の映像表現のなかで繰り広げられる、運命に抗いながら生きるための旅を続ける動物たちの姿。是非とも劇場で、その旅路を見届けてほしい。
文/久保田 和馬