第92回アカデミー賞の新ルール!外国語映画賞は名称変更、配信作品も引き続き有資格に
来年2020年の第92回アカデミー賞は、通年より2週間前倒しの現地時間2月9日(日本時間2月10日午前)に行われることはすでに発表済みだが、4月23日にロサンゼルスで行われたアカデミー賞理事会において、いくつかの変更点が発表された。大きなところでは、第91回アカデミー賞でメキシコ代表の『ROMA/ローマ』(アルフォンソ・キュアロン監督)が受賞し、日本代表の『万引き家族』(是枝裕和監督)も最終候補5作品に残った「外国語映画賞(Foreign Language Film)」は、「国際長編映画賞(International Feature Film)」に名称変更となる。
国際長編映画賞の選定委員を務める脚本家のラリー・カラゼウスキーとプロデューサーのダイアン・ワイアーマンによると、「国際的な映画製作環境において、“外国語”という言い方はもう時代遅れではないか」という懸念から名称変更を決めたそうだ。候補作選定にかかるルール変更は特になく、アメリカ以外の国で製作された英語以外の言語を使った長編映画(アニメ作品、ドキュメンタリー作品も含む)で、各国1作品を代表作品として応募する。ノミネーションに先駆けて発表される国際長編映画賞のショートリストは前回までの9作品から10作品へと変更、7作品が国際長編映画コミッティ会員によって選ばれ、3作品が国際長編映画賞エグゼクティブコミッティ会員によって選出される。
また、長編アニメーション部門においては、毎年12月に発表されていた8作品のショートリストは廃止、全ての応募資格を満たした作品の中からアニメーションカテゴリー及びショートフィルムカテゴリーに属する会員が候補作を投票で選ぶ。メイクアップ&ヘアスタイリング賞の候補は3作品から5作品へ、それに伴いショートリストは7作品から10作品に変更される。
今年のルール変更における最も大きな懸念となっていた、ストリーミング作品の是非については、今年は据え置きになるようだ。現時点でのノミネーション資格は、ロサンゼルス郡の商業映画館において、有料で1日3回以上7日間上映された作品に与えられる。ロサンゼルス郡の映画館で上映された翌日以降に、映画館以外のメディアで上映(配信)された作品についても、引き続き候補資格が与えられる。
第91回アカデミー賞では、配信大手のNetflixによる『ROMA/ローマ』が作品賞、主演女優賞ほか10部門で最多ノミネート、監督賞、外国語映画賞、撮影賞の3部門受賞となったのも記憶に新しい。2020年2月にもまた、従来の映画スタジオと新興の配信事業者の熱い戦いが繰り広げられることだろう。
文/平井伊都子