ロバート・ライアン
Stoker
スタンレー・クレイマーの「チャンピオン」と時を同じくして出た拳闘映画。ジョセフ・モンキュア・マーチの詩をアート・コーンが脚色し、「ボーン・トゥ・キル」のロバート・ワイズが監督した、リチャード・ゴールドストーン製作になる1949年作品。撮影は「美しき被告」のミルトン・クラスナー、音楽は「汚名」「ママの思い出」のC・バカライニコフが担当している。「暴力行為」のロバート・ライアン、「夜霧の誘惑」のオードリー・トッターの他、「仮面の男(1944)」のジョージ・トビアス、「影なき男の影」のアラン・バクスター、「育ちゆく年」のウォーレス・フォード、「孤児」のダリル・ヒックマン、パーシー・ヘルトン、ハル・フィーバーリング、ケニー・オモリソンらが出演する。なおこの映画は、物語の現実時間を映写時間72分に一致させるという試みが執られている。
35になって、ストーカー・トムスンの長いリング生活も終わりに近づいて来た。彼自身はまだまだ充分闘えると信じ込んでいたが、妻のジュリーは、決定的な敗北を喫する前に拳闘稼業から足を洗うように、彼に勧めてやまないのだった。彼のマネジャーのティニーにもそのことはよく判っていた。今夜ストーカーは23歳のタイガー・ネルソンと戦うことになっているが、多分勝利はネルソンのものだろう。ネルソンの所有主リルボーイは、今夜の試合の第2ラウンド以後、ストーカーが故意にノック・ダウンしてくれるよう、50ドルで買収にかかって来た。ティニーはストーカーに黙ってそれを受け取った。ネルソンは素早くて変幻自在の強敵、倒すのにむつかしい相手であることはストーカーも知っていた。がこの試合に勝てば、来週の更によいマッチと莫大な賞金が約束される。ストーカーは懸命に敵の弱点や攻撃法を研究して、リングに臨んだ。──戦いは始まった。第3ラウンド。ネルソンはストーカーが攻撃の手をゆるめないのでびっくりした。彼はストーカーに約束の八百長を囁いた。始めて奸計とティニーの裏切りを知ったストーカーは、倒れるどころか奮然と立ち上った。苦闘の末、第4ラウンドで、ついにストーカーはネルソンをノック・アウトしてしまった。ティニーは逃げ出した。更衣室で、リルボーイはストーカーに凄文句を浴びせた。そして服を着換えたストーカーが、彼のホテルへ帰りかけた時、待ち伏せしたリルボーイやネルソン一味は、袋小路に彼を取りまいた。4人がかりでストーカーは袋叩きにされ、無残にも彼は手を敷石で叩きつぶされた。息も絶えだえに街によろめき出た彼に駆け寄ったのは妻のジュリーだった。彼女は驚倒しながら、しかしむしろこの結末にほのかなよろこびを抱いた。2度とリングに立てなくなったストーカーと彼女とは、この夜を区切りに新たな生活へ踏み出して行くだろう。
Stoker
Julie
Tiny
Little_Boy
Gus
Red
Tiger_Nelson
Shanley
Moore
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