サンディ・デニス
Sara_Deever
ハーマン・ローチャーのオリジナル脚本を『水曜ならいいわ』(日本未公開)で認められたTV出身のロバート・エリス・ミラーが監督した風俗もの。撮影はダニエル・L・ファップ、音楽はミシェル・ルグランが担当した。出演は「女狐」のサンディ・デニス、「ドリトル先生不思議な旅」のアンソニー・ニューリーほか。製作は「動く標的」「カレードマン 大胆不敵」のコンビ、ジェリー・ガーシュインとエリオット・カストナー。
サラ・ディーバー(サンディ・デニス)とチャーリー・ブレーク(アンソニー・ニューリー)の2人は、知り合うなり急速に親しくなっていった。サラはブルックリン・ハイツに住み、アパートを人に貸してそのあがりで生活しているというみるからに奇妙な娘。一方、チャーリーは若いながら箱の製造業主である。チャーリーがサラのアパートに行くと、風変わりな訪問客が「まだ10月じゃないか!おあと交代は早すぎるぜ」と叫ぶのだった。事情をのみこめないチャーリーにサラは説明した。自分は毎月男をとりかえている。彼らは悩みごとをかかえて彼女のアパートを訪れ、寝起きをともにして1ヵ月経つと、必ず、ある満足をつかんでアパートを去っていく。そしてチャーリーにも悩みごとがあるとにらんだサラは「それじゃ11月の男になりなさいな」と、やさしく誘いかけた。こうして2人の、甘い11月が始まったのである。ある朝チャーリーは変わったノートを発見した。彼の生活の一部始終が克明に記載されている。彼のことばかりではない。サラは、関係したすべての男のことをノートしていた。1週間が過ぎ、チャーリーは本気でサラを愛し始めていた。だが一方、サラの方は、目立って健康がすぐれない。彼女の薬箱は錠剤でいっぱいだ。チャーリーの胸は痛み、自分に彼女の愛の深さを訴え続けた。11月が終わっても一緒に生活したい……。しかしサラは冷たく拒否し追憶の中でのみ愛は永久に生き続ける、というのだった。チャーリーは、かつての男たちに会い、彼女の病状の悪化を伝え、自分の真情を吐露した。だが彼らは、サラが毎月、男を変えるのは忘れ去られることへの恐怖からだという。彼女の生命は、あまり長くはないのだろう。やがて11月が終わり12月の男が選ばれた。だがサラも、チャーリーを本気で愛し始めていたのかも知れない。「君のことは永久に忘れない」と言いおえて去るチャーリー。彼を見送るサラの瞳は涙でいっぱいだった。
Sara_Deever
Charlie Blake
Alonzo
Clem_Batchman
Richard
Carol
Gordon
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