ジーナ・ローランズ
Mabel
精神のバランスを崩していく主婦とその家族たちの姿を描く人間ドラマ。平凡な家庭の現実感あふれる生活を背景に、微妙なバランスの基に成立している人々の関係が描かれる。監督・脚本は、1989年に59歳の若さで他界した、アメリカのインディペンデント・フィルムメーカーの代表として、また個性的な二枚目俳優としても活躍した「オープニング・ナイト」のジョン・カサヴェテス。製作は「グロリア」などの製作を担当し、写真家でもあるサム・ショウ。撮影はマイク・フェリスとデイヴィッド・ノウェル、音楽は「ラヴ・ストリームス」のボー・ハーウッドが担当。主演は、共同出資者でありカサヴェテスの旧友でもあるピーター・フォークと、カサヴェテスの妻で、「ナイト・オン・ザ・プラネット」や「私の中のもうひとりの私」のジーナ・ローランズ。2024年11 月 23 日(土)から渋谷のシアター・イメージフォーラムにて開催される特集上映「In memory of Gena Rowlands/イン・メモリー・オブ ジーナ・ローランズ」内で上映。
土木作業の現場監督ニック(ピーター・フォーク)とその妻メイベル(ジーナ・ローランズ)。メイベルは家族や友人に対する強い愛情の念をコントロールできない性格だ。ある日、夫婦2人だけで過ごす予定の夜に、突発的な事故でニックが帰宅できなくなったことをきっかけに、メイベルの奇行が目立ち始める。友人に忠告されても、妻の精神異常を認めないニックだったが、自分の愛情がメイベルに伝わらないことに苛立ち、彼女を精神病院に入院させる。半年後、多くの友人や親族を招き、メイベルの退院を迎えようとしたニックだったが、入院前とまったく変化していないメイベルが、必死になって自分を抑制しようとしているのに気づき、皆に帰ってもらい、3人の子供たちと夫婦だけで、再会の夜を過ごそうとする。ヒステリー状態になったメイベルと家族たちは自分たちの愛情を激しくぶつけ合い、子供たちを寝かしつけ、夫婦2人きりになったメイベルの顔には、穏やかな笑顔が蘇るのだった。
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