運命の饗宴(1942)
運命の饗宴(1942)
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運命の饗宴(1942)

1946年8月29日公開
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「肉体と幻想」に先立つ1942年度ジュリアン・デュヴィヴィエ監督作品。原作書おろし及脚本は、ハンガリィ著名の文豪フィレンツ・モルナールをはじめ、同国文壇出身でハリウッド脚本陣に活躍中のラディスラス・フォドール、ラディスラウス・ヴァドナイ、あるいは最近製作監督を試みているベン・ヘクト、ドナルド、オグデン・スチュワート、サミュエル・ホッフェンシュタイン、ラマー・トロッティ、アラン・キャンベル等のヴェテランにラスロ・ゴログ、ヘンリイ・ブランクフォートが加わった賑やかさ、また共演には最近「凱旋門」を撮影中のシャルル・ボワイエと、戦時中非常に売出した「コンドル(1939)」「血と砂(1941)」「ギルダ」等のリタ・ヘイワース、「恋の10日間」「キティ・フォイル」等で音楽舞踊映画以外にも活躍しているジンジャー・ロジャース、「怒りの葡萄」「愛しのクレメンタイン」のヘンリー・フォンダ、近作「彼のひと故に」のチャールズ・ロートン、黒人粕バウル・ロブスン、同じくエセル・ウォータース、「肉体と幻想」その他のトーマス・ミッチェル、以下シーザー・ロメロ、ローランド・ヤング、ユージーン・パレット、ヴィクター・フランサン、ウァオジ・サンダァス、ゲイル・パトリック、ジェームズ・グリースン、エルザ・ランチェスター等、すこぶる賑やかな陣容である。なお著名なホール・ジョンソン合唱団も出演している。撮影はジョセフ・ウォーカー。音楽はソル・カプランの原曲、クラレンス・ウィーラー、チャアルス・ブラッド・ショウ及びヒューゴー・フリードホーファーの編曲、エドワード・ポールの指揮。小唄新作は斯界の一人者レオ・ロビン、ラルフ・レンジャアのコンビ、声楽編曲はホール・ジョンソンである。

ストーリー

ブロードウエイの人気俳優ポール・オーマンは、自分の劇場を持っていて、気に入った脚本に主演し、しかもヒットを続けるという好運児だった。美貌の彼には女性ファンが多かった。しかし過去1年間オーマンと最も交渉の深かったエセルが、彼に一言の挨拶もなしに富豪ハロウエイと結婚したことはうぬ惚れの強いオーマンには堪えがたい侮辱に思えた。折しも彼は新作物の初演の夜をひかえ、舞台で着る夜会服が仕立屋から届られて来た。みごとな仕立であったが、そのために職人の一人はクビとなり、この服を呪ったという因縁があったが、オーマンは少しも気にしなかった。初演は大成功であったが、彼はアンコールにも答えず、運転手ルーサーに、ハロウェイの別荘へ急がせた。エセルは彼の訪問を喜ばなかった。年とって嫉妬深いハロウェイが怖かったのである。しかしオーマンはやっきとなってエセルを口説き、ついに彼女に良人とカナダへ猟に行くことを思い止まらせ、彼と共に飛行艇でブラジルへ駆落することを承諾させる。そこへハロウェイが現れ、猟銃をもてあそんでついにオーマンを射ってしまう。ハロウェイは銃の掃除をしていて誤って発射した━━と証言するよう妻に強いる。その時オーマンは立上った。芝居ですよ、今度の舞台でも大詰で射たれて死ぬ役だからね、どうです巧いもんでしょう、といって彼は静かに立去った。しかし自動車に乗込むと共に、オーマンは人事不省となって座席に倒れた。運転手ルーサーは銃痕のある夜会服を抵当に、知合の執事エドガーから10ドル借りる。エドガーはその晩主任のハリーが結婚するので夜会服がいるのだ。ところがハリーが朝寝しすぎているところへ、今宵の花嫁デイアンが訪ねて来る。客間にはハリーの夜会服が脱ぎすててあり、そのポケットからラヴレターが現れる。宛名はライオン、差出人はリスとある。デイアンは を出して読み始める。それを知ったハリーはエドガーと相談し、親友ジョージの応援を乞う。駆けつけたジョージに夜会服を昨晩取違えたといわせる。夜会服を持会さぬジョージはエドガー所持の例の夜会服を小道具に使うというわけである。取違えの芝居は一応成功したが、デイアンはラヴレターに興味を持ちすぎ、今までは男とも思わなかったジョージがライオンだったかと意外に思う。それが昂じて彼女はジョージに惹きつけられてしまい、ジョージもまた彼女にのぼせてしまった。そしてハリーが顔を剃って着換えて来た時、デイアンはハリーに婚約指輪を返して、ジョージと手をとり合って立去った。エドガーは、縁起の悪い夜会服をルーサーと2人づれで、質屋へ持って行って10ドルに買ってもらう。その夜会服を惚れ惚れと眺めたのは貧しい音楽家スミスの妻であった。スミスは天才的作曲家であるが、酒場のピアノでジャズを叩いている不遇の身である。しかし彼の親友でチェロ奏者のウイルスンが、大指揮者ベリーニにスミス作曲の交響曲を聴いてもらうように懇願を重ねてようやく承諾を得る。その結果、スミスは自作の「バツカナアル・モデルン」をカーネギー・ホールで指揮することとなる。スミスの妻は質屋から例の夜会服を求めて、ホールの楽屋に届ける。しかし夜会服は肥っちょのスミスには合わない。それでも直している暇はない。袖のあたりがほころびかけたのも構わず、スミスは夜会服を着て指揮台に立った。彼がタクトを振り始めるや、袖はビリリと裂けて来た。聴衆の中に忍び笑いが起り、破れ目が広がるにつれ笑い声は高まって大笑いとなる。スミスは破れ衣を抜いて投げうつ。するとベリーニが静かに立って夜会服を脱いだ。それに拠って男の聴衆はみな服を脱いだ。そして「バッカナアル・モデルン」は拍手と歓呼とを浴びたのであった。スミスの妻は破れた夜会服を縫って、貧民街の慈善ホームを経営しているジョーの妻モリイに与えた。ジョーはその晩郵便を受取ったが、中にエイヴァリー・L・ブラウン殿という一通があった。これはラリイだ、と直感したジョーは酔っ払って中華街に倒れていたラリイを連れて来る。それは1917年卒業の同窓生のクラス会招待状ブラウンは大学卒業生だった。会場はウアードルフ・アストリア・ホテルである。ラリイは例の夜会服を来て出席した。ところが席上、財布が紛失したため、みな夜会服をぬいで証明することとなる。しかしラリイは脱げない。白シャツでなく烏賊の甲を着ているからだ。そこで模倣裁判が提唱され、ラリイは被告人兼弁護士とならされた。彼は友愛の集りが質疑の会合となったことを論じ、友情の薄さを痛烈に皮肉って立去った。紛失したという財布は運転手によって届けられ、一同は顔を見合せた。しかし、親友の両三はラリイを追かけてホームに訪ねて来て、新しい仕事を頼むから朝9時に来て貰いたいと申し出た。ラリイがエイヴァリー・L・ブラウンと名乗って再生の首道につくことはいうまでもなかろう。モリーは夜会服を古着屋に売った。2人組の泥棒がそれを盗み出し、紳士淑女の集る賭博場に押入って5万ドルを強奪した。夜会服の強盗は飛行機でメキシコへ逃れる。ところが飛行中、排気管の火焔が夜会服に燃えついて消せないので、あわてた強盗は夜会服を脱ぎ捨てた。大金をポケットに入れた夜会服は黒人の農夫リューク夫妻に拾われた。リュークは司祭のラザラスに相談すると、天から降って来たのだから神様のクリスマスの贈物に相違ない。ということになり集落の人々に少額ずつ与えられ、教会と病院が建てられることとなった。そして焦げた夜会服は、案山子となって黒人集落の麦畑を番する運命となったのである。

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作品データ

原題
Tales of Manhattan
製作年
1942年
製作国
アメリカ
配給
セントラル映画社
初公開日
1946年8月29日
製作会社
20世紀フォックス映画


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