ピーター・グレイヴス
Dr. Paul Nelson
地球侵略を企む金星から来たモンスターと地球人の攻防を描いたSF映画。アメリカのSF・ホラー映画のプログラム・ピクチャー専門の映画会社AIPが配給・公開した一編。これまで本邦劇場未公開ながら66年の第一次怪獣ブームの際、マルチ編集者の大伴昌司によって怪物の名称が″金星ガニ″と命名され、広く親しまれていた。製作・監督は「X線の目を持つ男」などで知られ、監督・製作・配給・新人発掘などで後のアメリカ映画に多大な影響を与えたインディペンデント映画の巨匠ロジャー・コーマン。脚本はルー・ラソフ(クレジット上で、実際にはチャールズ・B・グリフィスが担当したという)、撮影はフレデリック・E・ウェスト、音楽はロナルド・スタイン。主演はTV『スパイ大作戦』のピーター・グレイヴス、「早撃ち女拳銃」のビヴァリー・ガーランド、「続・夕陽のガンマン」のリー・ヴァン・クリーフ。「マチネー 土曜の午後はキッスで始まる」などジョー・ダンテ作品の常連ディック・ミラーが軍人役で共演。
人類の現状を憂う天才科学者アンダーソン博士(リー・ヴァン・クリーフ)は偶然、金星の生物と電波で交信した。他天体の生物の力を借り、地球を理想の形に改善できると信じる博士の心とは裏腹に、過酷な自然環境の中で進化を遂げた金星生物たちは種族絶滅の危機を前に、地球への移住・侵略を企てていた。やがて地球に飛来した斥候員は超能力で地上の機械文明を麻痺させ、地球人の精神を遠隔操作できるコウモリ状の飛行装置を各国の要人に放った。アンダーソンはその計画に加担し、作戦の障害になる親友のネルソン博士(ピーター・グレイヴス)の殺害を命じられるが、彼が侵略者のロボットとなった妻ジョーン(サリー・フレーザー)を自らの手で殺したことを聞き、事の重大さに気づく。さらにアンダーソンの妻クレア(ビヴァリー・ガーランド)が身を呈して宇宙生物の正体を明かし、そして惨殺されるに至って彼は人間性を回復した。アンダーソンの協力で金星生物が拠点としている洞窟に入った軍隊が火炎放射を浴びせ、怪物は退治された。
Dr. Paul Nelson
Claire Anderson
Dr. Tom Anderson
Joan Nelson
General Patric
Sgt. Neil
Invader From Venus
[c]キネマ旬報社