ネル
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3.5

ネル

1995年5月13日公開、112分
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現代社会と隔絶された環境で育った女性と、彼女を取り巻く人々の姿を通して、真の人間らしさとは何かを描いたヒューマン・ドラマ。女優ジョディ・フォスターが『ヴィクトリア』(V/旧ビデオ題・禍いの家の花嫁)に続いて製作・主演した1編で、彼女が設立した映画製作会社エッグ・ピクチャーズの第1作。作品の核となるヒロインの“ネル語”を、脚本家と共に作り上げる(英語の子音を変化させて極端にデフォルメしている)など、本作に賭ける彼女の意気込みが伝わる。マーク・ハンドレーの舞台劇『構語不全(イディオグロシア)』の戯曲を基に、彼と「永遠の愛に生きて」のウィリアム・ニコルソンが脚色。監督には「瞳が忘れない ブリンク」のマイケル・アプテッドが当たった。製作はフォスターと「ディフェンスレス 密会」のレニー・ミセル。素晴らしい自然の風景を収めた撮影は「ラスト・オブ・モヒカン」のダンテ・スピノッティ、音楽は「クイズ・ショウ」のマーク・アイシャムで、パッツィ・クラインの挿入曲『Crazy』が効果的に使われている。美術は「クイズ・ショウ」のジョン・ハットマンが担当。共演は「シンドラーのリスト」のリーアム・ニーソン、「侍女の物語」のナターシャ・リチャードソンら。

ストーリー

波光きらめく湖を深い緑が包む、神秘的なまでに美しいノースキャロライナ州のブルーリッジ山脈。ここに文明や人との交流を避けた母の元で十数年間育てられた野性の娘ネルがいた。地元の開業医ジェリー(リーアム・ニーソン)は、母の死によってたった1人となったネル(ジョディ・フォスター)を発見して驚く。ネルはけだるく歌うように、彼女以外は理解できない言葉を発していた。ジェリーはネルにあくまで人間として接し、彼女の心の動きと言葉を理解しようとする。一方、大学の精神科医ポーラ(ナターシャ・リチャードソン)は、彼女を近代科学の研究材料に恰好の素材として判断してネルを研究施設に送り込もうとする。2人の意見は真っ向から対立し、裁判所に判断が委ねられた結果、ネルの様子を3ヶ月間観察した後、その扱いを決めると言い渡される。かくして彼らはネルの住居のそばに移り住み、観察を始めた。絶えず彼女から離れずに心を開いて接するジェリーとネルの間に、やがてコミュニケーションが生まれ、彼女の世界を開く鍵が見つかる。ネルの言葉の基本には、脳卒中による言語障害を持つ母親の発する言葉があったのだ。ジェリーはポップコーンのうまさ、音楽、街の雑踏、そして男と女の違いなどを教え、ネルの母親が植えつけた文明社会の恐ろしさを拭い去ろうとする。ポーラもまたいつしかネルと打ち解け、彼女の前で張り詰めた緊張を解き放った。ネルとの交流を通して心の安らぎを得た2人は、ネルを中心とした絆で結ばれる。だが、やがて森で暮らしていた野性の女のことが街で話題となり、マスコミが押し寄せてしまう。ジェリーとポーラはネルの自由な生き方を守るため仕方なく大学の病院に収容するが、環境の激変がネルを恐怖させ、2人までをも拒否してしまう。このままでは3ヶ月間の成長の軌跡が無駄になると、ジェリーはネルを抱きかかえて病院を飛び出す。今では互いの愛情を隠す必要のなくなったジェリーとポーラは、ネルを連れて裁判所の法廷に立った。自分の処遇が論じられている時にもネルは心を開かない。このままでは研究施設に送られてしまうことになり、ジェリーはそれでいいのかと激しく彼女に問う。ネルは初めてしっかりと、一人で生きていくことを宣言した。5年後。今は夫婦となったジェリーとポーラが娘のルーシーを連れて、誕生日を迎えたネルを訪ねる。人々に囲まれて囲まれて幸せそうなネル。だが、ルーシーと戯れる彼女の頬を涙が伝った。

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作品データ

原題
Nell
製作年
1994年
製作国
アメリカ
配給
日本ヘラルド映画
初公開日
1995年5月13日
上映時間
112分
製作会社
エッグ・ピクチャーズ


[c]キネマ旬報社