ルイス・ミゲル・シントラ
Moraes
日本を愛し、日本についての著述を残したポルトガルの文豪ヴェンセスラオ・デ・モラエスの生涯を軸に東洋と西洋の触れ合いを中国古代の詩人・屈原の「林足辞」の“九歌”の構成を借りて描く。製作は岩波ホール支配人の高野悦子と「新しい人生」(66)の監督パウロ・ローシャで、ローシャが監督・脚本も兼ねている。台詞はルイザ・ネト・ジョルジュ、羽田澄子、渡辺守章、載震嗣、撮影は岡崎宏三、アカシオ・デ・アルメイダとエルソ・ローク、音楽はパウロ・ブランダオン、編集は菅野善雄、美術はクリスティナ・レイスと坂口武玄、衣装は山口徹が各々担当。出演はポルトガルのルイス・ミゲル・シントラ、クララ・ジュアナ、ジタ・ドゥアルテ、ジョルジュ・シルヴァ・メロ、パウロ・ローシャなどと日本の三田佳子、村雲敦子、山部由香里、豊川潤など。
〈第一歌・東皇太一〉リスボンの軍事博物館の中。重厚な衣装をまとった男女の神が儀式をとり行なっている。男神は、ポルトガルの航海者ヴァスコ・ダ・ガマの身なりをしている。ヴィーナス(クララ・ジュアナ)がある人物のことを語る。窓の外に朝日がさし、19世紀の広場が見えだす。そして、祖国を旅立ち日本に向かった一人のポルトガル人、ヴェンセスラオ・デ・モラエスが現われる。 〈第二歌・雲中君〉モラエスは、ポルトガルの海軍士官で作家を志しいつも旅への憧憬を抱いていた。任地モザンビークからリスボンに戻ったモラエスは、彼の親友で身体の不自由な画家(ジョルジュ・シルヴァ・メロ)の妻イザベル(クララ・ジュアナ)に強い愛情を持っていた。そんな兄を見て、妹のフラシスカ(クララ・ジュアナ)は、兄妹の愛情を越えた女としての嫉妬をおぼえるのだった。 〈第三歌・湘君〉モラエスは、遂にイザベルに愛を告白しホテル・ヨーロッパの一室で彼女に逢った。真の愛に目ざめるイザベルだったが、彼女は彼に従って旅出つことはしなかった。傷心のモラエスは東洋ヘと惹かれた。ポルトガルの植民地マカオの港湾副司令官として、1895年に祖国を離れるモラエス。マカオで大詩人ペサーニャ(パウロ・ローシャ)と親交を結んだモラエスは、そこで広東の女と結婚し二人の子供を持つが、やがて夫婦の絆が切れ、妻子を置いて日本へ向かった。 〈第四歌・湘夫人〉神戸駐在の領事となったモラエスは、そこで美しい日本女性おヨネ(三田佳子)と結婚し、幸せな日々を送るが、彼女の病死で、はかなくその生活も終わり、おヨネの故郷徳島へと移り住んだ。 〈第五歌・大可令〉徳島ではおヨネの姪のコハル(村雲敦子)がモラエスの面倒をみた。やがて彼女は妊娠するが、彼女には浅太郎(豊川潤)という情人がおり、モラエスとの三人の微妙な関係に悩みながら、コハルも病に伏した。 〈第六歌・少司令〉徳島の盆踊りの日が近づいたある日、コハルが死んだ 〈第七歌・東君〉何年かが過ぎ、年老いたモラエスは、貧しい生活を続けながら日本についての文章を書き綴っていた。そしてリスボンにいるイザベルと妹にそれを送っていた。やがておヨネとコハルの墓を死ぬまで守ろうと決意する。 〈第八歌・河伯〉ヴィーナスは、東方の異国に骨をうずめようとするモラエスをじっと見守る。 〈第九歌・山鬼〉モラエスの死体が、死後何日かたって発見された。リスボンでは彼の死の記事が発表され、人々が議論しあう。やがて、イザベルと、フランシスカは、彼女らのことを非難した画家を、燃えたぎる業火の中に押しやるのだった。まるで奈落の底へと突き落とすように……。
監督、脚本、製作
製作
撮影
撮影
撮影
音楽
美術
美術
編集
衣装デザイン
特殊メイク
特殊メイク
特殊メイク
助監督
助監督
助監督
助監督
助監督
助監督
台詞
台詞
台詞
台詞
字幕
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