ショーミットロ・チャタージ
Gangacharan
インドの片田舎に住む一夫婦を通し、はるか遠くの戦争がおよぼす悲劇を描く。73年度ベルリン国際映画祭グランプリ受賞作品。製作はミセス・サルバニ・バッタチャーヤ、監督・脚本・音楽は「大都会」のサタジット・レイ、原作はビフティブシャーン・バナールジ、撮影はショーメンドゥ・ロイ、編集はドュラル・ドットが各々担当。出演はショーミットロ・チャタージ、バビータ、ションディーヤ・ロイ、ゴビンダ・チャクラバーティ、ロメシ・ムカージー、ノニ・ギョングリ、シェリー・パル、チトラ・バナージ、ショーチタ・ロイ、アニル・ギャングリィ、デバトシュ・ゴシュなど。
これは、カルカッタから遠く離れたベンガルの片田舎の物語である。時は1942年。世界各地には、第2次世界大戦の嵐が吹きあれていたが、この村では戦争の気配はこれっぽっちもなかった。しかし、ここでは、身分差別が甚しかった。バラモンが最高であり、ここに来て間もないガンガ(S・チャタージ)はこれにあたり、村人達の尊敬を受けている。また彼の妻アナンガ(バビータ)は、まだ若く、村人とも仲がよかった。ある日、隣村よりバラモンのディヌー(G・チャクラバーティ)という老人が、食物をねだりに来る。米の価格が、袋4ルピーから6ルピーに上がったためだ。それも、日本軍がシンガポールを占領したためであり、さらに日本軍がビルマに侵入してからは、米は18ルピーになり、米不足は決定的で、米屋の略奪騒ぎまで起こった。こうなっては、バラモンの体面上、労働はしてはならない、などといってられない。アナンガは米つきのアルバイトをし、ガンガも地主ビスワス(R・ムカージー)より5袋の米を最後に、見捨てられてしまった。そんな彼は、20キロ以上離れた村で、ヤミ米を30ルピーで売ってる男がいると聞き、妻の腕環を売って出かけるが、その男は米を売ってくれなかった。一方、アナンガの方も村の女達チュトキ(S・ロイ)と、モクショダ(S・パル)と共にヤマイモ掘りに行くが、男に襲われかける--。飢えは続いた。チュトキは、米ほしさに、醜い顔の煉瓦屋ジャドゥー(N・ギョングリ)に肉体をあたえた。そして、ガンガの家に、昔よく来て食事をねだっていたディヌー(G・チャクラバーティ)が家族全員を連れてやってくる。そして、アナンガはその時夫に子供が出来たことを告げた--。1943年、ベンガルでは500万以上の人間が飢えと疫病で死んだ。はるか離れた戦争が生んだ“人災の”飢饉である。
Gangacharan
Ananga
Chhutki
Dinabandhu
Biswas
Jadu
Mokshada
Moti
Khenti
Nibaran
Adhar
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