ピエール・クレマンティ
Paul
一人の少女を愛してしまった男の破滅を描く。製作はフェリス・トゥセル、監督はドメニコ・カタリニチ、脚本はダニエル・サンチェス、撮影はサンドロ・マンコーリが担当。出演はピエール・クレマンティほか。
オーストリアの小さな町の屋敷にポール(ピエール・クレマンティ)は戻ってきた。戦争前は一流作家としてウィーンでの盛大なパーティに出席し、皆の羨望の的であった彼だが、従軍中に足を負傷し、さらに男性として役に立たなくなったことにショックを隠しきれず、自分の部屋に閉じこもる毎日が続いていた。そんな彼を見つめる一人の少女の瞳--執事フランツ(ホセ・ルイス)の姪エヴァ(カティア・バーガー)の何も知らない無邪気さは、いつしかポールの一時の気の休まりとなっていた。そして彼女との交遊を題材に一篇の小説を書きあげようとするのだった。ある日ウィーンの出版社のパーティから戻ってきたポールは、エヴァがジプシーの少年と愛を交わしている姿を目撃し、自分が彼女を愛していたことを確認する。そしてこの叶わぬ愛を決算すべく、ポールは銃で自分の頭を撃ち抜くのだった。
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