アラン・ドロン
Julien
二人の生活に入ってきた黒人の女によって生まれた〈愛の三角間係〉と言える新しい愛の型を描く。製作はアラン・ドロンとピエール・カロの共同、監督は新人ロジェ・カーヌ、ミレーユ・エグローズのペンネームで書いたミレーユ・ダルクの原作をロジェ・カーヌとパスカル・ジャルダンが共同脚色、撮影はジョルジュ・バルスキー、音楽はフランシス・レイが各々担当。出演はアラン・ドロン、ミレーユ・ダルク、ジェーン・ダベンポート、パスカル・ド・ボワッソンなど。
パリの肥沃な農地“ルイ・ド・フランス”の一角を領する古色蒼然とした屋敷。その当主の美術蒐収家で、バイヤーも兼ねるジュリアン(A・ドロン)は、彼が集めたナポレオンの書類入れや、リシリューの使った肱掛椅子など名高い骨董品を求めてくる世界中のマニア相手に、気分次第のあいまいな態度をとっていた。そんな彼にそっと寄り添う美しい女アガート(M・ダルク)。二人は、歴史をしのばせる邸宅からは想像出来ない現代的な愛で固く結ばれていた。確かな幸福をしっかり肌に感じるアガート。一方、ジュリアンは彼女との生活に満足しながらも、夜毎、キャデラックを乗り廻し、ナイトクラブに出没して、プレイポーイぶりを発揮していた。そんな彼をみてアガートは責めるるどころか、逆に浮気をすすめるのである。たとえ、どんな女と遊んでも、最後には必ず、彼が自分のところに戻ってくると信じていたからである。ある日、パリのナイトクラブで二人はマッドレー(J・ダベンポート)という名のカモシカのように美しい黒人女性と出逢った。ジュリアンもアガートもこの自由奔放な現代女性マッドレーに魅られ、邸宅に招いた。やがて、マットレーと肉体関係を打ったジュリアンを見てアガートは彼のいままでの浮気とは違うと直感した。予感通りマッドレーは二人の間に堂々と入り込んできた。最初この三角関係を保とうとしたアガートも、耐えきれずついに姿を消した。残ったジュリアンとマッドレーの二人の破綻は早かった。アガートの面影を消すことのできないジュリアンと、それに耐えられないマッドレー、彼女もまた彼を残して夜の闇へと消えた。一人残されたジュリアンはアガートを探し求め、その頃ジュリアンを忘れかね思慕の情をつのらせていた彼女と再会した。元通りの二人だけの生活を取り戻し、幸福なはずの彼と彼女。だが、なぜかもう一つ何かが欠けてしまっていた。それはマッドレーのいない空虚感だった。そして、いつしかまたマッドレーが、二人の生活に入り込んできた。破綻のあとで、再び結ばれた三人は、お互いの傷をやさしくいたわりながら、固い絆で結ばれ、輝く太陽の下ジュリアン、アガート、マッドレーの共同生活は幸福そのものだった。
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