ジョン・モルダー・ブラウン
Alexander
ロシアの文豪イワン・ツルゲーネフの名作『初恋』の映画化。製作はマクシミリアン・シェルとバリー・レヴィンソン、監督はマクシミリアン・シェル、脚本はシェルとジョン・グールドの共同執筆、撮影はイングマル・ベルイマンとの名コンビといわれるスヴェン・ニクヴィスト、音楽は「傷だらけのアイドル」のマーク・ロンドンが各々担当。出演は「チップス先生さようなら」のジョン・モルダー・ブラウン、「悲しみの青春」のドミニク・サンダ、監督のマクシミリアン・シェル、「栗色のマッドレー」のヴァレンティナ・コルテーゼ、ダンディ・ニコラス、『怒りをこめてふり返れ』などの戯曲で知られるジョン・オズボーンなど。
夏の日、15才になったアレキサンダー(J・M・ブラウン)が初めてジナイーダ(D・サンダ)に逢った時から、彼の前には新しい世界が開けた。大学受験の勉強のために両親と、田舎の別荘にきていたアレキサンダーは、隣の借家へ越してきたジナイーダの神秘的な美しさの虜となってしまったのだ。ジナイーダと母親のザセキナ公爵夫人(D・ニコラス)を招いた昼食の時も、アレキサンダーは、両親や公爵夫人の話などまるで耳に入らず、美しいジナイーダに、ただ胸をときめかせているばかりだった。ジナイーダから帰りぎわに誘われたアレキサンダーは、約束の8時きっかりにジナイーダの家を訪れた。客間には陽気な話声が弾み、5人の男たちがジナイーダをとり囲んでいた。詩人のマイダーノフ(J・オズボーン)、ルーシン医師、ベロゾルフ大尉、マレフスキー伯爵、そして退役大佐のニルマッキーたちだ。皆ジナイーダの取り巻き連中である。彼らは罰金ごっこという奇妙なゲームに興じていた。ジナイーダが負け、当り札を引いた者が彼女にキスをする権利が与えられるというもので、幸運にもアレキサンダーが引きあてた。ゲームに興じているうちにいつしか夜は更け、アレキサンダーは陶酔の時を思うままに過した。ジナイーダはアレキサンダーにはあふれんばかりの寵愛をほどこし、かと思うと突然サディスティックに彼を傷つけ、思うようにもてあそんだ。しかしアレキサンダーの幼い恋心は、ひたすら彼女の神秘によって彩どられ、あこがれはただ増すばかりであった。ある日、アレキサンダーは、彼女の寝室に近づいた時思いがけないものを目にしたのだ。そこに彼の敬愛する父(M・シェル)の姿を認めたのだ。自分の部屋に舞い戻ったアレキサンダーは、いま自分の見たものは夢なのか、偶然なのか、と煩悶した。その日以来、彼はジナイーダの顔を正視できなかった。しかし自分は罪深い女だと告白する彼女の姿にアレキサンダーはますます愛をつのらせた。そして、アレキサンダーは両親と共にモスクワへ帰る日が来た。彼は変らぬ愛を誓ってジナイーダに別れを告げた。モスクワへ帰ってからもジナイーダのことが忘れられないアレキサンダーは、ある日父に乗馬に誘われた。モスクワ川にさしかかった時、父は少し待つように命じて横丁に消えた。かなりの時間がたち、父の立ち去った方へ歩いていったアレキサンダーはまたしても見てしまった。父とジナイーダとのひそかな逢いびきであった。アレキサンターは、複雑な気持で聞き耳を立てた。その会話で彼は、父とジナイーダの、いまは追いつめられた愛を知った。それから2ヵ月後、アレキサンダーは大学に入り、それから半年後父はこの世を去った。4年の歳月が流れた。大学を出たばかりのアレキサンダーは偶然にマイダーノフに再会した。そしてジナイーダが嫁いでモスクワで暮らしていることを知った。アレキサンダーはやっと探しあて、ジナイーダの家を訪ねた。しかし、4日前、ジナイーダは難産のため急死していた。
Alexander
Sinaida
Father
Mother
Dr. Lushin
Princess Zasekina
Maidanov
監督、脚本、製作
脚本
原作
製作
撮影
音楽
編集
字幕監修
[c]キネマ旬報社