ロベール・オッセン
Robert
非情な暗黒世界に命を張って、ひたすら悲痛な生をつっ走る五人の狼たちの孤独な賭けと、それを追う刑事の友情を描く。製作はレイモン・ダノン、監督は「雨のエトランゼ」のセルジオ・ゴッビと脚本も「雨のエトランゼ」でコンビを組んだジョルジュ・タベとアンドレ・タベ、撮影はダニエル・ディオ、音楽も同作のジョルジュ・ガルヴァランツが各々担当。出演はロベール・オッセン、ヴィルナ・リージ、シャルル・アズナヴール、アルベール・ミンスキ、アントニオ・パッサリアなど。
パリのダイヤモンド細工店を襲ったロベール(R・オッセン)をボスとするデリンジャー一味は、郊外の空屋で盗品売買を専門としている男と取引きすべく目的地に向ったが、相手の裏切りにより断念せざるをえなかった。それから八日後にデリンジャー一味は別の仕事に取りかかった。強烈な催眠ガスを使っての強奪は計画通り確実に成功した。その昼夜たがわぬ襲撃はパリ市民を恐怖のどん底へ突き落とし、ロベールの中学校時代の友だちであるパリ警察署のクラーマー警部(C・アズナブール)以下、ディリンジャー一味逮捕のため人員を増やした特捜部は地だんだをふんだ。一方、ロベールは当分仕事を休み、コートダジュールへ高飛びして仲間と暮らすことを考えていた。その為には身分証明書が必要だったが、知りあいのナイト・クラブの経営者に頼み、何なく手に入れた。その頃、クラーマー警部はデリンジャー一味が立ち寄りそうな所を片端から張り込んで必死に情報を集めていた。彼はロベールが寄ったナイト・クラブを嗅ぎつけ、経営者を脅迫してデリンジャー一味がフランスの南海岸へ行ったらしいという情報を吐かせた。クラーマー警部はすぐにニース方面の捜査網を強化する指令をだすと同時に、顔が定かでないロベールの手配書を作成すべく、中学時代の写真が保管されているサント・テレーズ中学校へ足を運んだ。彼の脳裏には子供の頃一番の仲好しだったロベールの思い出がよみがえった。一方、ロベールはニースのカジノでであった女ステラ(V・リージ)と熱い恋に陥っていた。だが、クラーマー警部はコートダジュールのあらゆる賭場とホテルの支配人を集めてロベールに関する情報を集めていた。ある賭場の支配人が手配書を見てロベールとステラがいっしょにいたことを証言したため翌日の新聞のトップに二人の顔写真が掲載された。デリンジャー一味は動揺したが、ニースを移動する前に、一世一代の大仕事をやろうというロベールの提案で行く先は決った。それは、休日のニース有料道路の上り一億フランを狙うことだった。計画は早急に実行に移され、一味は現金輸送車が通るニースの山の手の中腹で待ち伏せた。白バイに包囲された輸送車がトンネルに入ると入口と出口で待ち構え、挾みうちによって現金を強奪した。だが事件は無線によって警察に知らされ、非常線が張られた。ロベール、ステラ、アルベールが乗った車は無事突破したが、後の車は銃弾を浴びせられ大破した。その夜は近くの安宿にとまったが、女主人の通報によって警官隊に包囲され、アルベールとステラが射殺された。パリに護送されて程なく、その機をうかがっていたロベールは脱出し、彼に好意をよせるナイト・クラブの女ジュヌビエーブにかくまってもらった。ロベールは彼女に、田舎の家に隠しておいた金を取ってきてくれるよう頼み、パリ駅で再会を約束して別れた。ジュヌビエーブは、ロベールの家に張込んでいた刑事に尾行され、通報を受けたクラーマー警部はパリ駅に飛んだ。最早、ロベールに逃げ道はなかった。彼の拳銃が火をふくと同時に、包囲した刑事たちの拳銃がロベールめがけて発射された。
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