オルネラ・ムーティ
Lisa
文明の虚飾を嫌い、絶海の孤島で生きる若い男女のラブ・ストーリー。製作はニコロ・ポミリアとジャンニ・ミネルヴィーニ、原案・脚本・監督は新人ジョルジョ・ステガーニ・カゾラーティ、撮影はセルジオ・ドフィツィ、音楽はジャンニ・マルケッティが各々担当。出演はオルネラ・ムーティ、アレッシオ・オラーノの「シシリアの恋人」のコンビの他クリス・アブラム、ルイジ・ピスティリなど。
十五歳の少女リザ(O・ムーティ)が、ロベルト(A・オラーノ)と知り合ったのは仲間たちと一緒に、彼らが「ポリネシア」と呼んでいるヒッピーの秘境へ、遠乗りにでかけた時だった。片時も離さないギター、ものおもわしげな瞳はリザの憧れを満すのに充分だった。数日後、ある大きな館の廃墟でのデート。その時教えてもらった住所をもとに、リザの家を訪れたが、彼女の両親はロベルトを快く思わなかった。大きな自動車会社の社長であるリザの父親(C・アブラム)は、ロベルトとリザの交際を、はっきり禁じたが、二人の恋を邪魔することはできなかった。海辺の別荘からヨットをだして、地中海に滑りだすリザとロベルト。ロベルトに愛娘を誘拐されたと思い込んだリザの父親が、その金と権力を使って警官と軍隊を大がかりな捜索に立ち向わせたことも知らないで……。ロベルトにすすめられるまま、恥じらいとともに衣服を脱ぎ捨てたリザは白い裸を青い海に投げだす。朝、眠りから覚めると海へ、その海に倦めば、夜、洞窟のしとねへ。時のたつのも忘れさす恋の陶酔のさなかで、ふたり以外の世界が忍び寄ってこようとは思ってもみなかった。この無人島に猟にきた二人のハンターがアダムとイブさながらの二人を見、すぐに警察に知らせた。リザの父は、時を移さず軍隊を出動させる。大捜査隊が組まれ、無人島に向えば、好奇の雑誌カメラマンたちが、ヘリコプターを飛ばして、二人が忘れていた都会の騒音をもたらそうとする。ロベルトがつまびくギターの音のほかには、何ひとつ騒がしいものがない島の昼下りに、突然落雷のように舞い降りた武装した捜索隊の男たち。リザは無理矢理ロベルトから引き離され、警察に保護され、父の待つ豪華なヨットの中へ……。そして必死の思いでリザに駈けよるロベルトめがけて銃弾が発射された。
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