カーク・ダグラス
Steve
金庫破りの名人、“ビッグマン”と呼ばれるにふさわしい男が、命を賭けて保険会社の金庫に眠る二〇〇万ドルを強奪する姿を描く。製作総指揮は「別れ」の女流プロデューサー、マリナ・チコナ、製作はマノロ・ボロニーニ、監督はミケーレ・ルーポ、フランコ・バッチェリとロベルト・レオーニの共同原案をミーノ・ローリ、フランコ・バッチェリ、ロベルト・レオーニ、ミケーレ・ルーポが脚本化した。撮影はトニーノ・デリ・コリ、音楽はエンニオ・モリコーネ、編集はトニー・ジータが各々担当。出演はカーク・ダグラス、ジュリアーノ・ジェンマ、フロリンダ・ボルカン、ヴォルフガンク・プライス、ルネ・コルデホフ、ロマーノ・プッポなど。
西ドイツのハンブルグは静かな朝を迎えようとしている--。三年の刑を終えて愛する妻アンナ(フロリンダ・ボルカン)のもとに帰ってきた金庫破りのプロ、スティーブ(カーク・ダグラス)は、この仕事から足を洗って、彼女と平和に暮そうと考えていた。だが、そんな彼の前に昔の仲間ミューラー(ヴォルフガンク・プライス)が現われ、仕事の話をもちかけた。彼は断わるが、眼の前に大金を積まれると心はぐらついた。アンナとの平和な日々を送るためにはどうしても金がいるのだ。仕事とは、保険会社の大金庫“ビック・ベン”に眠る二〇〇万ドルを強奪することだった。スティーブは引き受け、計画をねり始めた。ある日、彼は偶然のことからサーカス団で働く若者マルコ(ジュリアーノ・ジェンマ)を知った。彼はアクロバットが得意で、この大仕事にはうってつけである。さらに彼は旧友エリックに金庫破りの道具を作ってもらった。着々と準備が進み、警報器の配線図を入手し、道具も点検、社内の地図、そして守衛が二人しかいないことも確かめる。一方、警察側はスティーブの行動に眼をつけ、ホフマン警部(ルネ・コルデホフ)が動きだした。決行の日が迫った。スティーブは、若くて腕っぷしのいいマルコを高く買ったが、マルコとアンナは密かに愛し始めていた。決行の日曜日がきた。人気のないハンブルグの町をスティーブ、マルコ、アンナを乗せた車が走る。スティーブは保険会社に、マルコは偽装強盗のため質屋に侵入した。難攻不落の巨大なる金庫を前に、スティーブの手は震えた。長い廊下には、守衛の動きがわかるようにマイクを仕掛ける。数時間に及ぶ格闘の末、金庫の扉はやっと動きだした。二〇〇万ドルの札束をトランクに詰め込み、表で待っているアンナと共に、質屋にいるマルコを迎えにいく。スティーブが入れ替り、質屋に入る。そして、わざと警報器を鳴らした。警官が駈けつける。中にホフマン警部もいる。スティーブはつぶやく。「今度はしくじったよ。これで一年間はくらい込むな……」。彼はその刑期さえ終えれば、あとは盗んだ金で気楽な生活ができる--ミューラーを裏切る。これこそがスティーブの予定の計画なのだ。しかし、物蔭には守衛の死体が……。マルコがあやまって守衛を殺してしまったのだ。これで終身刑をまぬがれないことを知ったスティーブは警官を殴り倒して闇の中に消えた。翌朝、マルコとアンナは海外へ逃亡するために港にきていた。そこに傷を負ったスティーブが現われた。怒りに燃えたスティーブはマルコに拳銃をつきつけ、アンナを船に乗せた。マルコは一瞬の隙をつき、近くの車に飛び乗った。彼は引金を引き、車中のマルコは絶命した。スティーブは茫然とたたずんだ。
Steve
Marco
Anna
Muller
Hoffman
Blondi
監督、脚本
脚本
脚本、原案
脚本、原案
製作
製作総指揮
撮影
音楽
編集
字幕監修
[c]キネマ旬報社