マリオ・アドルフ
Luca Canali
紛失した麻薬をめぐって、無実の罪をきせられた男が執拗につきまとう暗殺の魔手に激しく抵抗するアクション・ドラマ。監督・原案・台詞はフェルナンド・ディ・レオ、脚本はフェルナンド・ディ・レオ、アウグスト・フィノッキ、インゴ・ヘルメスが共同執筆。撮影はフランコ・ビラ、音楽はアルマンド・トロバヨーリが各々担当。出演はマリオ・アドルフ、ヘンリー・シルヴァ、ウッディ・ストロード、アドルフォ・チェリ、ルチアナ・パルッツィ、シルバ・コシナ、シリル・キューザックなど。日本語版監修は野中重雄。イーストマンカラー、ワイド。
ミラノからニューヨークに運ばれる途中で、六〇〇万ドル相当のヘロインが、何者かの手によって奪われた。数日後、容疑者として浮び上ったミラノのポン引き、ルカ・カナリ(M・アドルフ)を派手に殺すようにとの密命を帯びた二人のアメリカ人の殺し屋がミラノに送り込まれてきた。命令を下したのはニューヨークの組織を支配するボスのコルソ(C・キューザック)だった。ルカはかつて、ミラノのボス、トレソルディ(A・チューリ)の売人だったが、役に立たないためお払い箱となっていたのだ。二人の殺し屋デビッド(H・シルバ)とフランク(W・ストロード)は早速、ルカの跡を追った。一方、もめごとが大きくならないうちにルカを始末しようと考えたトレソルディも、部下に命じてルカを狙い始めた。当のルカは命が狙われていることなど知るよしもなく、相変らずポン引き稼業に精をだし、その合間をぬって別れた妻のルチア(S・コシナ)と一粒ダネのリタに会うことを楽しみにしていた。そんなある日、ルカはトレソルディの使いだという二人の暴漢に襲われたが、得意の頭突きで切りぬけた。しかし、ミラノのボス、トレソルディに狙われたからにはここから逃げだすしかない。しかし、報復を恐れて協力してくれる人はいない。やむなくルカは親友のニコラを訪ね、彼の従兄の家に身を隠すことになった。ミラノ市内各所にはトレソルディの手下の眼が光り、もはや、市外への脱出は不可能だった。さらにトレソルディは、ルカの最大の弱点をついてきた。一人娘のリタを誘拐するというのだ。ルカはすぐルチアに連絡し、学校へ迎えにやった。だがルカと待ち合せ場所寸前の所で、猛スピードで疾走してきたトラックに、はね飛ばされてしまった。もちろんトレソルデイの仕業だ。復讐の鬼と化したルカは、巧みに彼の事務所に忍び込み、トレソルディにピストルをつきつけた。そこでは意外な事実が判明した。ヘロインを奪ったのはトレソルディ自身だったのだ。ルカは何のためらいもなく引金を引いた。だが、まだ強敵がいた。二人の殺し屋だ。最後の決闘の場所は郊外の廃車集積場に決まった。山のように積みあげられたポンコツ車の中で、ルカは殺し屋たちを待った。二対一、ルカには不利な形勢だったが、死にもの狂いの彼にとっては問題ではなかった。しかしルカは二人を倒したもののデビッドの銃弾をうけ、次第に意識を失っていった。
Luca Canali
David Catania
Frank Webster
Don Vito Tressoldi
Eva Lalli
Enrico
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