大樹のうた
大樹のうた
-

大樹のうた

1974年2月12日公開
  • 上映館を探す
  • みたい
    0
  • みた
    0
評価、レビューが削除されますがよろしいでしょうか?

サタジット・レイのオプー・シリーズ完結篇。第一部「大地のうた」では主人公オプーの出生から少年期を、第二部「大河のうた」では両親を失くしたオプーが学業を終え自立するまでを、この第三部ではオプーが結婚して子供を生み、育てる過程を描く。製作・監督・脚本はサタジット・レイ、原作はビフティブシャーン・バナールジ、撮影はスブラタ・ミットラ、音楽はラヴィ・シャンカールが各々担当。出演はショーミットロ・チャタージ、シャルミラー・タゴール、アクロ・チャックラヴァルティ、シャパン・ムカージーなど。

ストーリー

肉親のことごとくを失って身寄りのなくなったオプー(S・チャッテルジー)はカルカッタの粗末なアパートに住み毎日職さがしにかけずり廻っていたが、思うように仕事は見つからなかった。部屋代はたまり、満足な食事にもありつけない始末だったが、暇をみては自伝的な小説を書きながら作家として立つ日を夢見ていた。ある日、親友のプルー(S・ムカージー)が訪ねてきて、彼を故郷のクルナに誘った。プルーは従妹のオプルナ(S・タゴール)の結婚式へ参列するため帰郷するのである。クルナは豊饒な美しい土地、と聞いていたのでオプーも同行することにした。オプルナの結婚式の当日、とんでもないことが起こった。暑い中を遠路はるばるやってきた花婿が突然発狂したのだ。この地方では、結婚式が予定の時間に行われないと、花嫁は一生呪われると言い伝えられている。困り果てた花嫁の家族は、オプーに花婿の身代りになってくれと懇願した。この突然の申し出にオプーは頑として応じなかったが、あわてふためく花嫁一家を見るに見かねて花婿になることを承知した。オプルナは美しかった。が、裕福な家庭で何不自由なく暮してきた彼女が、定職もない作家志願のオプーをどの程度理解し貧乏暮しにたえていけるかどうか、オプーはそれが心配だった。安アパートで新婚生活が始まった。オプルナは気だてのやさしい娘だった。新たに得た事務員としての安サラリーを家庭教師のアルバイトで補う夫との貧しい明け暮れにも愚痴一つこぼさなかった。オプルナはやがて二人の愛の結晶を宿し、安心して子供が生めるよう里帰りした。離れ離れになってからも甘い手紙のやりとりは続き、オプーは妻の留守の間、長くおろそかにしていた小説を書きついだ。そこに突然もたらされたのは、オプルナが早産で死んだという知らせだった。子供は無事で男の子だということも、オプーのあまりにも大きなショックをやわらげることはできなかった。苦い絶望の日々、彼は苦心して書いた原稿を破り捨て、放浪の旅に出た。五年の歳月が流れた。英国出張から帰ったプルーはその間の事情を知り、中央インドの炭坑で働いているオプーを捜しあて、子供の不幸な実情を訴えたが、オプーは承知しなかった。彼は子供を故郷の友人に預け、自分は海外にいく決心を固め、子供を引き取りにクルナにいった。だが、我が子のカジュル(A・チャックラヴァルティ)の無邪気な寝顔を見ているうちオプーのかたくなに閉ざされた心に父性愛がめざめ始めた。しかしカジュルは突然の父親の出現に半信半疑だった。やにわに外へ飛び出したカジュルはオプーに反抗的に石を投げた。どうしても打ちとけない我が子に失望した彼は、義父に養育費だけ渡してひとり淋しく立ち去ろうとした。そのとき、父の愛に飢えていたカジュルの顔に初めて親しみの微笑が湧いた。走り寄ってくるカジュルを肩車に乗せるオプーは、妻の死以後初めて味わう人間としての生きがい、父親としての喜びに燃えていた。

映画レビュー

まだレビューはありません。
レビューを投稿してみませんか?

コラム・インタビュー・イベント

ニュース

作品データ

原題
Aqur Sansar
製作年
1958年
製作国
インド
配給
エキプ・ド・シネマ
初公開日
1974年2月12日
製作会社
サタジット・レイ・プロ


[c]キネマ旬報社