アルカジー・トルーソフ
Andrel
湧きあがる革命の息吹きと苛酷な国内戦の嵐の中で、素朴なシベリア人たちの心の動き、厳しい自分との格闘、押し寄せる階級対立の波を描く。この時代は父は子と、兄は弟と相争い、新旧の世界が葛藤を重ねた時代だった。コンスタンチン・セドィフの小説『ダウリヤ』の映画化。監督はヴィクトル・トレグボヴィチ、脚本はユーリー・クレピコフとトレグボヴィチ、撮影はエヴゲニー・メゼンツェフが各々担当。出演はアルカジー・トルーソフ、ユーリー・ソローミン、エフィーム・コペリャン、ヴィタリー・ソローミン、ワシーリー・シュクソン、スヴェトラーナ・ゴローヴィチ、ミハイル・コクジェノフなど。日本語版監修は土方敬太。カラー・ワイド。
第一部 一九一四年。コサック兵が土ぼこりを巻き上げながら疾走していく。先頭は隊長のエリセイ・カルギンだ。川岸で、コサック兵たちを迎えたのは懲役囚たちだが、その中には政治犯のワシーリー・ウルィビン(ワシーリー・シュクシン)もいた……。コサック兵は知事エニセイに忠誠を誓い、その代償に受け取った金で酒場を開いていた。そこへ町からやってきたばかりのセミョン・ナゴルヌィ(P・ソローミン)が現われる。彼は鍛冶屋で、コサック兵たちは先を争って仕事を頼んだ。その場で鍛冶屋の話からワシーリーは自分の伯父が流刑場から脱走したことを知る。一方、ナゴルヌィに仕事を奪われてしまった鍛冶屋のピエール・ヴォロキチンはすっかり腹を立て、ナゴルヌィの動向をスパイしていた。そのため、バイカル地方の革命活動に連絡を取っていることが知れて、ナゴルヌィは逮捕されてしまう。そのころ、ワシーリーの甥ロマン(V・ソローミン)とダーシャは愛し合っていたが、ダーシャは他の若者と結婚させられてしまった。その結婚の宴がたけなわの頃、戦争が始まったのである。 第二部 一九一八年のチタ。バイカル湖畔は国内戦の戦火に包まれていた。セミューノフが率いる白軍がチタに迫り、赤軍にはこれを迎え撃つ力がなかった。チタの防御線を指揮していたのはかつての政治犯で今は赤軍司令官のワシーリー・ウルィビンである。土地を持たぬコサックで、今は赤軍に加わっているフェドト・ムラトフがワシーリーに、白軍の装甲列車の接近を報告する。そして鍛冶屋のナゴルヌィとムラトフがダイナマイトを積んだ列車に機関銃をぶっ放す。その頃、アナキストのグループは銀行を掠奪して、満州に逃亡しようとしていた。ワシーリーは甥のコサック隊長ロマンに、銀行にある金を疎開させるよう命じていた。銀行に闖入してきたアナキストたちと交戦中、ロマンはムラトフと再会する。二人は共同してチタを撤退していく赤軍兵士を掩護する。パルチザンの陣地への帰途、ロマンと赤軍兵士は白軍に包囲されてしまう。生き残った者は銃を持って応戦した。ムラトフとロマンは飛び交う銃弾の中を、断崖を飛び降りて脱出する。白い森の道を抜けて、冬の故郷の村にロマンはたどりついた。そして以前の恋人ダーシャのもとに身を寄せる。彼女はバイカルの深い森に身を穏している赤軍パルチザンのことをロマンに物語った。やがてロマンは、森にひそむパルチザンを組織しなおすと、深夜、一気に村を解放した。ダーシャは、パルチザンを率いて故郷を離れていくロマンを村はずれで見送るのだった……。
Andrel
Severjyan
Avdotjya
Roman
Vasilii
[c]キネマ旬報社