一九四〇年のナチ・ドイツ侵略下のもとで、反撃に全勢力をあげるギリシャ海軍と解放地下組織の抵抗を描いたギリシャ映画。製作はTh・ダマスキノス、V・ミヒャエリデス、監督はディミ・ダディラ、脚本はS・フィリィポウリス、A・ダビッド、音楽はN・ママガキスが各々担当。出演はコスタス・プレカス、コスタ・カラス、オルガ・ポリトー、ソフィア・ローボー、リカルゴス・カレルギスなど。
ストーリー
第二次大戦を目前にひかえた一九四〇年のギリシャ。すでにアテネはドイツの支配下にあり、全土がドイツに占領されるのも時間の問題だったが、地中海だけはまだドイツの自由にならず、パブロス大尉の指揮する魚雷艇は、ドイツ海軍に被害をあたえていた。この頃、ドイツからエリツク海軍大尉がアテネに赴任してきた。彼は父が元ギリシャ駐在のドイツ大使だった関係で子供のときアテネで生活していた。そこでエリックは、幼友達のマリーナに再会した。彼女は美しく成長していたため、エリックはたちまち恋におちた。マリーナがギリシャ解放の地下抵抗運動員だとも知らずに。組織はマリーナに対し、エリックに接近して、ドイツ軍の情報を収集するよう命じ、エリックとマリーナは一緒に住むようになった。マリーナがエリックから盗んだ情報は地下本部に送られ、さらにマリーナの兄パブロスのもとに届けられていた。情報は的確で、パブロスは決して敵を逃すことはなかった。もちろん、彼はその情報が愛する妹が身体を犠牲にして得た情報だとは知らされていなかった。しかし、妹とドイツ将校が同棲していることを知ると激怒し、二人を殺そうとアテネに向かった。その夜、エリックの家に忍び込んだパブロスは、二人に銃をつきつけたが、エリックを必死でかばうマリーナを見ると撃つ気にはなれなかった。悲しみと憎しみがますますパブロスをドイツ反撃に駆り立てていった。彼はあらたに、フロッグマン攻撃特別隊と要塞爆破決死隊を組織し、大々的な反撃に移ることにした。一行は潜水艦に乗り込み、深夜の海を目的地に向かった。要塞の近くで爆破隊はおりて、高く険しい崖をよじ登っていく。目ざすは敵のレーダー基地だ。同時にフロッグマン部隊も水中を戦艦爆破に向かっていく。やがて、陸と海の両方で同時に、大音響と共に爆薬がさく烈した。要塞島は一瞬のうちにふっとび、海上ではドイツ戦艦がまっぷたつになって沈んでいった。一方、兄が大成功をおさめていた頃、アテネではマリーナがスパイ容疑で逮捕されていた。エリックはその容疑を否定していたが、ゲシュタポの盗聴電話により、事実は決定的なものになっていた。マリーナは仲間と共に、夜の海岸におびき出され、射殺された。戦争が終わり、アテネ港の軍艦上で、パブロスの武勲に対して勲章授与式が行われていた。彼の胸には二つの勲章が輝いていた。一つは妹に与えられたものだった。栄誉に喜びながらも、今は亡き妹をしのんで、パブロスは涙にくれるのだった。
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