アッラ・デミートワ
Arkadina
一九世紀末、帝政社会が崩壊する前夜のロシアでけだるさと焦燥の日々を送るインテリゲンチュアの生活を描いたアントン・チェーホフの同名戯曲の映画化。監督・脚本はユーリー・カラーシク、撮影はミハイル・スースロフ、音楽はアレクサンダー・シニートケが各々担当。出演はアッラ・デミートワ、ウラジミール・チェトヴェリコフ、ニコライ・プロートニコフ、リュドミラ・サベーリエワなど。
若き劇作家トレープレフ(V・チェトヴェリコフ)は退屈で惰性的なこの時代のすべてに我慢できず、その不満の発露を新しい劇形態の創作に求めいる。しかし、彼の母であり有名な女優でもあるアルカージナ(A・デミートワ)や、彼女の愛人である著名な作家トリゴーリン(Y・ヤコヴレフ)は、彼が上演した湖畔での野外演劇を真に理解しようとはしない。トレープレフの焦りはますます高まるばかりだった。その頃、美しい娘ニーナ(L・サベーリエワ)は女優になることを夢みて、きびしい親の眼を盗んではトレープレフと演劇活動を続けていた。彼女は演劇仲間であるコーチャが自分に抱く愛を知りつつも、女優として大きく成長するには別の生き方をしなければならないと考えていた。そして、その気持を受けとめたのはトリゴーリンであった。ニーナは彼のもとへと去っていく。一度はニーナとの愛を選んだトリゴーリンであったが、その生活は長く続かなかった。彼が欲し、必要としているのは、実はアルカージナだったことに気づいたからである。数年の後、ニーナは夢破れて昔の家に戻ってきた。今や彼女を支えているのは、試練に耐えて彼女自身がつかみとった自己の才能を信ずる信念だった。
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