張連文
蕭長春
「襤褸の旗」とバーターで日本にはいってきた映画。プロレタリア大革命を生きのびてきた数少ない文芸作品の一つである浩然の長篇小説『艶陽天』を映画化したもの。原作は伊藤克氏の手によって邦訳され青年出版社から『艶陽天』全8巻として刊行されている。
生産手段の所有について社会主義的改造が進行していた一九五六年の中華人民共和国。東山塢の合作社(農業協同組合)は、厳しい自然災害に見舞われたが、一致団結した農民たちの努力によって、秋には麦の穂が黄金色にきらめく農作を迎えることができた。収穫にともなう分配計画が問題になったとき、年産隊長の青年・馬連福は組合に提供した土地の広さに応じて分配せよと主張する。党支部の書記で合作社主任の蕭長春は、昔の苦しい小作人時代の生活を思い出せと幼な友達の連福を説得する。改心する連福。背後で連福をあやつっていた反革命の黒幕は、元村長の馬之悦だった。馬之悦は元大地主の馬小弁と組み、なんとか自分の手で東山塢を支配するようにしようとする。収穫が終わろうとした日、馬之悦たちは長春の子供の石坊を誘拐して、農民たちに子供を捜させ、雨で濡れた麦を腐らせて長春を失脚させようとする。長春は子を思う親の情をおさえて農民に仕事を続けさせた。悲しみに沈むその夜の長春たち。だが翌日、郷の党委員会の書記が石坊を連れて現れ、馬之悦たちの正体をあばき、馬之悦と馬小弁を逮捕した。
[c]キネマ旬報社